2012 Fiscal Year Annual Research Report
Z偏光および表面プラズモンを利用したラマン分光による多軸歪とばらつきの評価
Project/Area Number |
12J09826
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
武井 宗久 明治大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラマン分光法 / 表面プラズモン / 歪シリコン |
Research Abstract |
局在型の表面プラズモン共鳴(LSPR)を利用した表面増強ラマン散乱(SERS)の評価を可視光ラマン分光法で行った。試料にはSGOI基板を使用した。金属粒の堆積にはPECSおよび蒸着装置を使用した。PECSでは、数nmの堆積で膜に近い形状に金属が堆積されており、LSPRに求められる球形の金属粒を堆積することには至らなかった。さらに粒間の制御が困難であることが分かった。次に蒸着装置では、PECSとは異なり金属粒が球状に近い形で堆積されていた。また粒間距離も制御が可能であり、蒸着装置によりLSPRによるひずみSi層のラマン信号強度比が増大した。蒸着の仕方に対しても検討を行い、試料を傾けて蒸着することで、ひずみSiの強度が一層増加した。しかし、LSPRが生じるほどひずみSiピークの高波数側へのシフトが生じ、また高波数側のベースラインが低波数側のベースラインよりも高くなった。高波数側のベースライン増加は測定で使用する高NA油浸レンズ用のオイルの蛍光がプラズモン共鳴により増大していることが原因と分かった。ひずみSiピークの高波数側へのシフトは、プラズモン共鳴により増強された光がSi基板のTOフォノンを励起していることに起因していることが分かった。TOフォノンを励起する他の手法に比べて、SERSでは非常に効率よくZ偏光成分が発生していた。また、ドルーデモデルから出発した共鳴波長シミュレーションを試みた結果として、(1)粒径が大きくなると散乱効率が増加する、(2)雰囲気の誘電率が大きくなればなるほど散乱効率が増加する、(3)遠方場に比べ近接場での電場増幅作用が強い、ことがわかった。これらのシミュレーション結果は、実験結果と良い一致を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局在型の表面プラズモン共鳴を利用した歪評価手法については報告例が多くはなく、また表面プラズモン共鳴を使用することで歪量が変化してしまうことが問題となっていた。その未知の歪量変化に対して理論的に証明できたことは今後の厳密な歪量評価に大きく貢献できると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光表面プラズモン共鳴を起こす金属粒の制作の再現性を実現すること。またさらに表面敏感な評価を行うために紫外光での表面プラズモンを起こす条件を探索する。続いて、上記手法を市販LSIに適応するための市販LSIの表面露出手法の開発を行う。
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Research Products
(3 results)