2012 Fiscal Year Annual Research Report
双極子相互作用する光格子中のボーズ気体の理論的研究
Project/Area Number |
12J09904
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大越 孝洋 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボーズ粒子系 / 光格子 / 双極子相互作用 |
Research Abstract |
光格子中にトラップされた双極子相互作用する冷却ボーズ粒子系では、相互作用の異方性や長距離性に起因した新奇な物理現象の実現が期待され、その実現に向けた実験が近年盛んに行われている。このような系は、有効的に拡張ボーズ・ハバードモデルによって記述されることが知られている。本研究では、拡張ボーズ・ハバードモデルにおいて現れる新奇な量子相の探索を目的とし、統計誤差を除いて厳密な取扱いが可能である量子モンテカルロ法を用いて基底状態相図の解明を行った。特に本年度は、正方格子上の最近接相互作用のあるソフトコア・ボーズ・ハバードモデル、および、異方的な双極子相互作用のあるハードコア・ボーズ・ババードモデルを取り扱った。その結果はそれぞれ、以下の1,2の通りである。 1.最近接斥力相互作用のあるソフトコア・ボーズ・ババードモデルの基底状態相図において、チェッカーボード型固体相と超固体(固体と超流動の共存)相の存在領域を明らかにした。特に、一般の超固体は固体に粒子やホールをドーピングすることによって現れるが、本モデルにおいては、ドーピングなしでも超固体が現れることを明らかにした。 2.異方的双極子相互作用のあるハードコア・ボーズ・ハバードモデルの基底状態相図において、ストライプ型固体相の存在、超固体相の不在、そして、粒子数に多段プラトーが出現する領域の存在を明らかにした。本モデルにおける超固体相の不在は、強い引力相互作用の存在に起因する。また、粒子数の多段プラトーの出現は、長距離相互作用に起因した現象である。 以上の成果は、論文にまとめられ、既に掲載済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の通り、ボーズ・ババードモデルに長距離相互作用の効果を取り入れることによって、いくつかの新奇な量子相を確認することができた。さらに、それらの結果を基底状態相図としてまとめ、論文や学会発表を通して公表も積極的に行うことができたため、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、双極子相互作用のあるソフトコア・ボーズ・ババードモデルの基底状態相図の解明に取り組んでおり、今後もこれを引き続き行う予定である。最終的には、論文にまとめて公表を行う。
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Research Products
(8 results)