2013 Fiscal Year Annual Research Report
ホルムアルデヒドをC1合成素子とするラジカル反応の新展開
Project/Area Number |
12J09927
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川本 拓治 大阪府立大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラジカル反応 / ホルムアルデヒド / ビアリール / シアノボロヒドリド |
Research Abstract |
ラジカルCl素子は一酸化炭素やイソニトリルの反応を通じ、その潜在能力が明らかとなっている。一方、ホルムアルデヒドは古くからイオン反応をはじめ数多くの反応に利用されその有効性が明らかとなっているにもかかわらず、ラジカル反応においては検討例が過去に数例しかなく、有効な反応として認識されているとは言い難い。これまでに、アルキルヨウ素化物とホルムアルデヒドに対してシアノボロヒドリドをラジカルメディエーターとして作用させると付加反応が効率よく進行することを報告している。さらなる展開として、アリールヨウ素化物のホルムアルデヒドへの付加反応について検討した。シアノボロヒドリドをラジカルメディエーターとし、4-ヨードアニソールとパラホルムアルデヒドとをアセトニトリル中に混ぜ、室温で低圧水銀灯照射を行ったところ、主に生成したのは還元体であるアニソールであった。つづいて、AIBNを開始剤とし、熱条件下で反応を検討したところ、低収率ではあるが目的とする付加体が得られた。一方、ベンゼンを溶媒として用いた場合、アリールラジカルがベンゼンと反応した生成物が得られた。そこで、別途詳細な検討を行った結果、アリールヨウ素化物のフェニル化反応が効率よく得られることを見出した。本反応では炭素-臭素結合および炭素-ヨウ素化結合の双方を有する基質を用いた場合、炭素-ヨウ素結合のみが選択的に反応することが分かった。得られる臭素化されたビアリールはさらなる官能基化が可能であり、本手法は合成化学上有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的であるホルムアルデヒドをラジカルアクセプターとした炭素-炭素結合形成反応開発を足がかりとして新たな反応を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一酸化炭素とホルムアルデヒドを組み合わせ新規炭素-炭素結合形成反応の開発を行う。初期の検討として、研究計画に記載した3つの反応に取り組み、反応条件の最適化を図る。具体的には、ラジカル前駆体や捕捉源の検討だけにとどまらず、置換基の立体効果や電子的要因を考慮する。さらなる検討として、初年度に得られた知見を基に他の多成分連結反応の検討を行う。時には、計算化学的視点からアプローチし反応条件を最適化する。
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Research Products
(7 results)