2013 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞未分化性維持機構の知見を利用したがん幹細胞の単離・解析
Project/Area Number |
12J09944
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
浦 大樹 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 白血病幹細胞 / Eed / エピジェネティクス / Embryonic Stem Cell / 細胞競合 / リプログラミング |
Research Abstract |
がん幹細胞を同定するには、白血病幹細胞内の不均一ながん細胞集団の中のがん幹細胞の割合を増やしてがん幹細胞の特性を知ることが1つの手段だと考えられる。そのためには細胞の不均一性は何によってどのようにもたらされるのかを知る必要がある。これまでの申請者の研究結果より、ポリコーム群遺伝子の1つであるEedによるエピジェネティックな制御(ヒストンH3K27メチル化)によってES細胞が完全な未文化状態から不完全な未分化状態にシフトすることが示唆されており、このエピジェネティックな制御が不均一性を生み出している可能性がある。また近年、がん幹細胞とES細胞は同様なメカニズムによって制御されている可能性が示唆されているため、この現象に着目し研究を行った。ES細胞が分化する際Eedの発現は減少するが、完全には無くなることはない。Eed欠損ES細胞を分化させると、野生型を分化させたときより外胚葉、中胚葉系にはあまり分化せず、内胚葉系に分化するという異常な分化をしている傾向が見られ、エピジェネティクスな変化により細胞のステータスを変えることができる可能性が示唆され、エピジェネティックな制御をコントロールすることで不均一性を制御できる可能性が示された。 またiPS細胞でのリプログラミング中にshRNAライブラリーを用いたゲノムワイドな遺伝子発現の抑制実験により、iPSのリプログラミング効率を変える細胞競合に関わる因子を同定した。それらの結果より、均一な細胞集団において、細胞競合によって異なる細胞集団が作られることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しい知見により、これまでの転写因子やエピジェネティクスに関わるような因子のみではなく、細胞競合に関わる因子が細胞集団に影響を及ぼしている可能性が示唆され、これまで以上に幅広く分野で研究を行う必要ができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ES細胞で得られた知見をがん幹細胞に応用して研究を行う予定であったが、ES細胞で得られる知見が十分とは言えず、さらにES細胞では研究を進めていくために重要な遺伝子ノックアウトなどの実験方法も簡単に使うことができるため、今後もES細胞を用いて研究も並行して行う予定である。
|