2012 Fiscal Year Annual Research Report
マーク付き点過程に対するネットワーク構造推定と実データ解析への応用
Project/Area Number |
12J09982
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
黒田 佳織 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多変量時系列解析 / マーク付き点過程 / スパイク列 / ネットワーク構造 / ニューラルネットワーク / 学習 |
Research Abstract |
私たちの周りには,複数の要素が互いに影響を及ぼし合うことにより,非常に複雑な振る舞いを示すシステムが存在する.このような複数の構成要素からなるシステムを理解するためには,要素間の結合形態,すなわちネットワーク構造を知ることが重要となる.それらのシステムからネットワーク構造を直接調べることは容易ではないが,システムの各構成要素から観測される多変量時系列からネットワーク構造が推定できると考えられる.しかし,ニューラルシステム,経済システム,自然システムなど様々な分野で観測される時系列は離散的な点過程時系列であることが多い.そこで本研究では,システムから観測される多変量時系列が点過程時系列であるような場合に対して,時系列データのみから元のシステムのネットワーク構造を推定する手法を提案し,さらに提案手法を実データへ応用することを目的とする.当該年度は,点過程時系列の中でもイベント発生時刻の情報のみを持つスパイク列からネットワーク構造を推定する新たな手法の開発を行い,従来の提案手法では推定できなかったネットワークの結合方向の推定を可能とした.また,提案手法の応用として,ニューラルシステムにおける学習によってネットワーク構造が時間経過と共にどのように変化して行くかを同定し,学習を検出する解析手法を構築した.さらに,イベント発生時刻の情報のみだけでなく,イベントに付加された情報を持つマーク付き点過程時系列からネットワーク構造を推定する手法を開発し,数値実験により,提案手法を用いることで,イベント発生時刻の情報のみの場合よりも,マーク付き点過程時系列を用いる方が,さらに精度良く推定できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はスパイク列,およびマーク付き点過程のデータのみから元のシステムのネットワーク構造を推定する手法の開発に取り組んだ.提案手法を用いることで従来手法より高精度にネットワーク構造が推定できること,さらに従来手法では推定できなかった結合方向が推定可能になったことから,順調に研究が進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として,提案手法を実データに適用し,解析を行う.まず一つ目に,ニューラルネットワーク構造推定手法の応用として,実データからニューラルシステムの状態変化を同定し,脳内の学習の検出,解析を行う.二つ目に,マーク付き点過程からネットワーク構造推定する手法の応用として,マーク付き点過程時系列である地震データや,為替や株取引などの経済データを対象とし,提案手法を適用することで,各要素間の因果関係の解析を行う.
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Research Products
(5 results)