2012 Fiscal Year Annual Research Report
農業新規参入者のキャリア形成と家族生活に関する実証的研究
Project/Area Number |
12J10095
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高津 英俊 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 新規参入農業者 / 初期キャリア / 適応プロセス / 質的研究法 / M-GTA法 / メンタリング / サポート |
Research Abstract |
本研究の課題は、新規参入農業者(以下、新規参入者)の経営及び就農地域への定着要因をキャリア論の視点から再検討することである。1年目にあたる本年度は、次年度の成果発表に向け、調査データおよび研究資料の収集を中心に研究を進めた。具体的には、新規参入農業者(以下、新規参入者)の初期キャリア形成に関する以下の4つの研究を実施している。 第1に、農業分野でキャリア論に係わりのある文献・資料を加えて、企業経営分野におけるキャリア論や企業の新入社員の職場適応プロセスを研究分野とする組織社会化論に関する書籍や論文、その他資料の収集および分析を実施した。 第2に、新規参入者の農業及び農村への適応プロセスを明らかにするために、栃木県内に就農した非農家出身の新規参入者11名対して、キャリア観に係わるインタビュー調査を実施した。現在は、質的研究法の1つであるM-GTA法により、収集したデータの分析を進めている。 第3に、新規参入者に対し、特色のある研修プログラム(メンタリング)を提供、新規参入者の定着率が高いJAやさと(茨城県石岡市)の「ゆめファーム新規就農研修制度」を事例に、そのプログラムの実態と効果を検討した。その結果、同プログラムが、新規参入者の技能形成をサポートするたけでなく、精神的なサポートの役割を果たしていることを明らかにした。 第4に、海外の先進地調査を実施した。その理由は、新規参入希望者にとって、有機農業には根強い人気があるが、その一方で、収益性の低さが指摘されるためである。そこで、有機農業による新規参入者の新たなビジネスモデルを構築することを目的に、その先進地の1つである英国のオーガニック・ファーマーの取組を実地調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究手法として、質的研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチを採用したため、データ分析に予定以上の時間を要しているが、その反面、新たな研究手法を採用したことで、従来の研究では指摘されていない知見がいくつか確認されている。このため、総合的に判断して(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度収集した調査データを分析し、できるだけ多くの研究成果を公表したいと考える。さらに、次年度は、2年間の研究成果を博士論文として、取りまとめる。
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Research Products
(2 results)