Research Abstract |
微細加工技術の発展とともに, 単一細胞・微生物の特徴量計測はバイオテクノロジー分野で大変重要になってきている. 特に, 力学的特徴量計測のためには, 細胞を単一細胞レベルで大量に操作可能な技術開発が必要である. 我々は, ハイスループット処理が可能なマイクロ流体チップ内での細胞操作に対して, ロボット技術を統合し, 搬送流路系において単一細胞の機械的連続計測を目的としている. 25年度は, 細胞の機械的特徴量計測に関して, 細胞のサイズに応じてシステム構築およびその評価を行った. 直径が数マイクロメートルの細胞として赤血球を対象とし, その変形能に着目した機械的特徴量計測システムを構築した. システムを用いて, マイクロ流路内の赤血球を, 位置決め精度±0.24マイクロメートル, 駆動周波数20ヘルツと超精密・超高速に細胞を位置決めを達成した. さらに, 構築したシステムを用いて, 赤血球の体内循環時の毛細血管通過時の疲労特性評価を目的とした赤血球疲労評価を行い, その伸展能および回復能も用いることでこれを定量的に評価する方法を提案した. 直径が数十マイクロメートル, 数百マイクロメートルの細胞に関しては, 動物細胞およびウシ・マウス卵子をそれぞれ対象として, 前年度までに構築したロボット統合型マイクロ流体チップを用いた, 画像フィードバックを用いた連続機械的特徴量計測を行った. 流路内に投入した細胞をチップ外部に配置したシリンジポンプを用いて, チップ内の計測部へと搬送した後, チップに配置したプローブにより細胞を物理操作で変形させ, 高速度カメラにて細胞の変形量および細胞の反力を計測する. これらの情報を基に細胞の力学的特徴量を計測し, 20/個のスループットで自動連続計測に成功した. 本手法は, 細胞の力学的特徴量のデータベース化だけでなく, 細胞の品質評価, 発生評価に貢献し得る.
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