2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 直 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | K中間子原子 / K中間子原子核 / J-PARC / X線 / シリコンドリフト検出器 / エキゾチックアトム |
Research Abstract |
K中間子ヘリウム3原子およびK中間子ヘリウム4原子の3d→2pX線のエネルギーを精密に測定して、K中間子と原子核の間の強い相互作用について明らかにする実験を進めている。本実験では大面積高分解能のシリコンドリフト検出器を用いて世界最高精度での測定が可能である。またX線エネルギーの測定に加えネオジム箔を用いたK中間子ヘリウム3原子の3d→2pX線幅の測定も検討している。このX線幅は従来の検出器分解能では計測できないほど細かったため、もし有限の幅を計測できればK中間子と原子核の間の強い相互作用について重要な情報を与える。 本実験はJ-PARCハドロンホールK1.8BRで行なわれるが、このビームラインでの先行するK中間子原子核探索実験と多くの共通の機器を使用する。当該年度はこのK中間子原子核探索実験に参加することによって、K中間子ビームの調整や各種ビームライン検出器、崩壊粒子検出器のコミッショニングを行なった。 ビーム調整ではスリットやマグネットの調整によりKビームの収量を最適化した。またビームラインスペクトロメータで運動量1GeV/c近傍のビームに対し約0.2%の精度でビーム運動量を決定できることを確認し、運動量ビームの分布を得た。これらはK中間子ヘリウム原子X線の実験でのビーム条件の決定や、K中間子ビームを標的に止めるためのシミュレーションに必須の重要なデータである。 ビームライン検出器および崩壊粒子検出器のコミッショニングでは要求性能達成することが確認された。また液体ヘリウム標的の数日間にわたる安定した運用を確認した。 これらの成果や実験の準備状況について国内学会1件および国際会議2件で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で高精度のX線分光を行なうためには、Kビームを効率的に標的に静止させて数多くのK中間子原子を作ることや、崩壊粒子検出器を用いて反応点を再構成するなどするなどしてバックグラウンドを減らすことが非常に重要である。当該年度ではこれらに関わるビームや検出器のコミッショニングが順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きK中間子原子核探索実験に参加することによって、ビームラインや共通に使用する検出器の評価を行う。 ハードウェアについては既に目処がたっているため、主に解析ツールなどソフトウェアの開発を中心に行なう。 また、今までに得られたデータをもとにK中間子を標的に止めるシミュレーションを行って減速材を最適化し、実際にKビームを標的中に止める調整を行なう。その上でX線検出器をインストールし物理データの取得を目指す。
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Research Products
(6 results)