2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマス超薄膜の表面状態におけるスピン偏極伝導の測定
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12J10290
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東野 剛之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金 / 異方性 / 擬1次元 / フラクタル |
Research Abstract |
Si(110)2×5-Auは金原子がSi(110)表面上にワイヤ状に並んだ構造を持っている。他の擬1次元金属表面の系と比べて原子鎖の距離が長いため鎖間の相互作用が弱いと考えられる。実際角度分解光電子分光からも原子鎖垂直方向の分散はほとんどなく、擬1次元金属的な電子状態を持つ事が報告されている。そのため他の擬1次元系よりもより強い1次元性を示し電気伝導測定からも異なる振る舞いを示す事が期待できる。 そこでSi(110)2×5-Auについて直線4端子法による電気伝導測定を行った。探針間隔が広い時には探針を原子鎖に平行に配置するか垂直に配置するかによって抵抗値の異方性や探針間隔に対する抵抗値の依存性は観測されなかった。これは過去に測定された他の擬1次元系の場合と同様に異方的な伝導度を持つ2次元系として理解できるものであった。一方、端子の間隔を数10μm程度以下に狭くすると抵抗値の異方性および探針間隔依存性が観測された。 この結果は従来の系とは異なり異方的な2次元系とは理解できない結果であり、探針間隔を狭める事で個々の原子鎖が持つ強い1次元性が測定結果に現れたものと期待できる。この結果を理解するためにパーコレーション理論に基づいて解析したところ、探針間隔が狭い領域では原子鎖中の不純物や原子鎖間の橋渡しをする欠陥がフラクタル的に振る舞うことで、これまでの系とは異なるフラクタル次元の振る舞いを示している事が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に予定していた研究対象では信号が予想よりも小さく結果を出すことが困難になり研究対象を大きく見直したため。
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Strategy for Future Research Activity |
他の探針の配置や温度依存性などより多くの条件で電気伝導測定を行いパーコレーション理論に基づく解析が妥当であるか否かを検証する。
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Research Products
(2 results)