2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内リゾリン脂質によるミトコンドリアの形態制御機構の解明
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12J10377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 陽介 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / リゾリン脂質 / 線虫 |
Research Abstract |
本研究ではこれまでに、線虫Mt-GPAT変異体において、1)ミトコンドリアの形態に異常を示すこと、2)生殖機能に異常を示すこと(約75%の個体が不稔を示す)を見出していた。しかし、これらの表現型の分子メカニズムは不明であった。そこで、分子メカニズムを探る手がかりを見つける為に、Mt-GPAT変異体の生殖異常に注目し、生殖異常の回復を指標としたサプレッサー遺伝子のスクリーニングおよびマッピングをすすめた。順遺伝学的なサプレッサースクリーニングを行った結果、Mt-GPAT変異体の生殖異常、ミトコンドリアの形態異常を抑圧するサプレッサーを2系統樹立することが出来た。現在、原因遺伝子をクローニングしている。 Mt-GPAT変異体や、Mt-GPAT発現抑制細胞(HeLa細胞)におけるミトコンドリアの形態異常の原因を追究し、それはミトコンドリアの融合異常に起因していることが明らかとなった。このことから、Mt-GPAT/LPAはミトコンドリアの融合に関与していることが強く示唆された。 そこで、既知のミトコンドリア融合因子、制御因子についてMt-GPATと相互作用を、培養細胞系での共免疫沈降実験によって検討した。その結果、これまでにミトコンドリア融合の実行因子と考えられているMitofusin(dynamin様GTPase)との結合が確認された。 MitofusinはGTPase活性を有すること、また、ミトコンドリアの融合にはGTPase活性が必要であることが示されている。また、Mitofusinはオリゴマー形成を介して活性化されることや、ユビキチンプロテアソーム依存的にタンパク質発現量が制御されていることが知られている。そこで、Mt-GPAT/LPAがMitofusinの活性や発現に影響を与えるかについて、GTPase活性、オリゴマー形成を検出する評価系を構築し、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通リゾリン脂質によるミトコンドリア形態制御の作用点の候補の1つとして、Mitofusinというタンパク質を見出した。また、マッピングは完了していないものの、計画通りにサプレッサースクリーニングを進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、進めていく。具体的には、1年目に見出したMitofusinというMt-GPAT/LPAのターゲット候補分子について、ミトコンドリア形態や分子活性の観点から関連性の解析を進める。さらに、Mitofusin以外のターゲットの存在可能性についても遺伝学的、物理学的相互作用分子の探索を更に進めていく予定である。また、現在単離しているサプレッサー遺伝子についてもマッピングを行い、遺伝子を特定する。
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[Journal Article] Mitochondria-type GPAT is required for mitochondrial fusion2013
Author(s)
Yohsuke Ohba, Takeshi Sakuragi, Eriko Kage-Nakadai, Naoko H Tomioka, Nozomu Kono, Rieko Imae, Asuka Inoue, Junken Aoki, Naotada Ishihara, Takao Inoue, Shohei Mitani and Hiroyuki Arai
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: (in press)
DOI
Peer Reviewed
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