2012 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発組織におけるコンフリクト-製品アーキテクチャの視点から-
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12J10384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 悠一朗 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 製品戦略 / イノベーション・マネジメント / 生産管理 / 造船 / 建築 / トラック / 組織間関係 / 製品アーキテクチャ |
Research Abstract |
本研究は大型人工物の製品開発組織において、製品の設計思想と組織間関係の関連性を明らかにすることを目的としている。研究方法としては、主としてケース・スタディとなる。したがって、まず、ケース・スタディの方法論を改めて検討することとした。その内容を『赤門マネジメントレビュー』の経営学輪講(共著)にまとめた。 本研究は、大型人工物の製品開発に焦点を当てた。大型人工物として、具体的には造船、トラック、建築産業を計画していた。造船産業に関しては、製品戦略がパフォーマンスにどのように寄与しているかを分析することとした。聞き取り調査等により、製品戦略が造船メーカー各社の特徴および課題に直結していると予想されたためである。そこで、学会発表2件として製品戦略とパフォーマンスの相関関係を定量的に分析した。後日、学会発表で指摘された変数のコントロールしたところ、有意な相関が得られず、論文化はできなかった。ただし、分析の一部は造船産業に関する視座として実務家の方にお見せすることができ、その後のフィールド調査のきっかけとすることができた。 トラック産業については、従来の自動車産業研究の中で比較的手薄な分野での議論を試みた。乗用車や2輪車と比べ、自動車産業の中ではモジュラー寄りのアーキテクチャを持つことに特徴がある。本年度は国内3社を訪問した。うち2社は外資系企業に買収された企業である。この2社について「グローバル自動車研究会」において発表し、実務家・研究者からフィードバックを得ている。また、守秘義務の関係で現時点では公表できていないが、事例研究としてディスカッションペーパーにまとめている。 建築産業に関しては、大型人工物ゆえの機能の曖昧性がもたらす諸問題に関して分析し、刊行予定の本の2章分の執筆を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のアプローチを詳細に検討できた点、建築産業を事例とした大型人工物特有の問題点について検討できた点で順調に進んだ。また、造船産業、トラック産業については実務家との接触を増やすことができた。しかし、造船産業に関しては本年度想定していた定量分析の結果が有意に得られず、定性的ケース・スタディにアプローチを変更する必要が生じた。定量分析の視座は企業等へのアプローチのきっかけとなったが、投稿論文に直結する成果に結びつかなかった点がやや遅れている。トラック産業に関してはまだ端緒についたばかりであり、来年度以降、学会発表等を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本研究の「so what?」の部分を重視し、戦略論的観点からの分析し本研究の基礎づくりを行った。,これを踏まえて、次年度は、本研究の主眼である組織論的観点から研究を行う。そこで研究の進捗を踏まえて、今後は、研究対象を造船産業とトラック産業に絞り、主に前者の研究を強化する。方法としては定性的ケース・スタディに絞ることとする。実務家との接触はすこしずつ広がってきているので、理論的枠組みに照らして、事例数を適宜増やしていくことは可能であると思われる。アウトプットとしては、特に造船産業のケース・スタディについて、本年度で実現できなかった査読付き論文への投稿を目指す。
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Research Products
(6 results)