2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋空間における類似性を活かした道具使用ダイナミック運動のロボットによる実現
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12J10392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 鋭 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋骨格系 / モーメントアーム / 空気圧人工筋 / 筋シナジー / ロボット / 棒高跳び / ハイブリッド機構 / トルク特性 |
Research Abstract |
本研究では、筋空間において運動を捉えることで、他運動からの運動要素の転用を図り、道具使用を含む複雑な運動をロボットにより実現、その実現に必要な要素を明らかにすることを目的としている。本年度は、その第一歩として、筋の制御法の検討、タスク実現に必要なスペックを得るための機構の改良、タスク特有の問題について取り組んだ。 多数の筋の制御方策として、動物の運動指令は少数のプリミティブからなるという筋シナジーの考えを基に、発火同期に着目した運動表現を考えた。その有効性をシミュレーション上での筋骨格ロボットの走行学習により検証した。結果、プリミティブの要素を少数筋群に限ることの有効性、フェーズ切り替えが運動固有の特徴を捉えていることが示唆された。 機構の改良として、空気圧筋の弱点である極端な姿勢特異性の改善のために、角度依存モーメントアーム機構を実装した。この機構の実装により、浅いスクワット姿勢からの跳躍性能の向上、複数スクワット姿勢からの跳躍における運動のばらつきの減少が見られた。これは、多様な姿勢を含むダイナミック運動において有用と考えられる。さらに、モーメントアームを電磁モータにより変更可能なハイブリッド機構についても検討した。この機構は運動毎に異なるトルク特性を準備でき、運動への適応性の向上が期待できる。 タスク特有の問題の検討として、道具使用ダイナミック運動の1つである棒高跳びの技術について、単純モデルによるシミュレーションを行った。結果、棒に与えるトルクの方向を棒接地期の中程で反転させることにより跳躍高さが向上することを示した。 これらを統合するものとして、道具使用ダイナミック運動を実現するためのロボットを現在製作中である。なお、計画においてはヒト計測、ロボット機構の検討を挙げていたが、そのうちヒト計測に代え、シミュレーションによる制御戦略、タスク特有の問題の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主にシミュレーションを用いて制御戦略、ロボット機構、タスク特有の問題について総合的に検討を行い、ロボットの製作、製作したロボットによるタスク実現のための準備を整えることが出来た。さらに、ロボット実機、その実験設備についても検討を行い、次年度の実験を円滑に進める上での具体的準備も整ってきている。以上より、本課題を進める上での準備としての本年度の役割を全うしたことから、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、タスクを実現可能なロボットの製作を行う。その際に、アクチュエータ特性の詳細な解析、実装上の問題の解決を図る。同時に、道具により受ける力に対する姿勢の制御戦略について、ヒトの筋活動を参考に、シミュレーション、単純ロボットにより検討を行う。次に、製作したロボットによる制御戦略の検証、運動の生成を行うことで、道具使用ダイナミック運動の実現を図る。
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Research Products
(6 results)