2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋空間の類似性を活かした道具使用ダイナミック運動のロボットによる実現
Project/Area Number |
12J10392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 鋭 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋骨格系 / 棒高跳び / 出力特性 / ロボット / 拮抗 / ダイナミック運動 / 準備動作 / 運動切替 |
Research Abstract |
本研究では、筋空間において運動をとらえることで、他の運動からの運動要素の転用を図り、ロボットによる道具使用ダイナミック運動を実現することを目的としている。冗長筋骨格系においては、その要素である筋がそれぞれ様々な出力特性を持つことが、その冗長性を活かす上で有効と考えられる。運動の要求により、筋空間において異なる特性を持つ筋の重みの配分が決まり、共通する要求をもつ運動間での転用が可能になると考えられる。本年度は、道具使用ダイナミック運動における特有の問題、筋の出力特性を調節する機構、また、筋骨格系の特性である拮抗に着目した筋空間における運動生成について取り組んだ。 道具使用ダイナミック運動特有の問題として、道具使用ダイナミック運動である棒高跳びにおける身体動作の効果について、シミュレニション、ロボットを用いて検討した。結果として、曲げモーメントを与えることで跳躍高さが向上すること、特に棒の最大湾曲時の曲げモーメント方向の切り替えが跳躍高さ向上に有効であることを示した。また、身体の慣性の反力により早い動作の切り替えはパフォーマンスに負の効果をもたらすことを示した。 筋の出力特性としてトルク-角度関係に着目した角度依存モーメントアーム機構を応用して、電磁モータにより出力特性を様々に変化可能な機構を組み込んだ四脚ロボットを開発した。これは、異なる要求を持つ運動に対して、適した特性を備えた身体を準備することに相当する。 筋骨格系の要素である拮抗筋の制御について、動作を行う前の構えについて検討した。拮抗筋の応答性能に差が見られる場合、遅い筋があらかじめ力を発揮する側に拮抗を調節することで、素早い反応動作が実現することをシミュレーション、実機のロボットアームを用いて示した。 出力特性を活かす筋骨格系の制御をさらに詳しく検討し、運動転用につなげるために、現在、詳細な筋骨格シュミレータを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題タスクである道具使用ダイナミック運動として棒高跳びを取り上げ、シミュレーション、ロボットを用いて、そのパフォーマンスに関わる身体運動の効果を調査した。また、筋空間の類似性を活かす制御のために、筋の出力特性を調節可能な機構を組み込んだロボットの開発、異なる出力特性を持つ冗長筋骨格系のシミュレーションモデルの構築も進め、来年度へ向けた準備も整えることができた。以上より、研究は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
筋空間の類似性を活かす制御法の確立のために、構築したシミュレーションモデル、ロボットを用いて、制御法の効果の検証を重ねる。確立した制御を用い、本年度に検討した運動の要素と組み合わせることで、道具使用ダイナミック運動をロボットにより実現する。
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Research Products
(15 results)