2012 Fiscal Year Annual Research Report
π共役金属錯体二次元ナノシート半導体の界面創製と構造-物性相間
Project/Area Number |
12J10449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神戸 徹也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノシート / 界面合成 / ジチオレン / 共役系 / レドックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属イオンと配位子とを組み合わせることにより共役系金属錯体ナノシートを構築し、レドックス特性による物性のチューニングにより半導体特性の精密な制御を達成することである。構成要素としてNi(II)とベンゼンヘキサチオール(BHT)を用いることで、ニッケルビスジチオレンナノシートの構築を行った。 Ni(II)の水溶液とBHTのジクロロメタン溶液とを、液面同士を接触させることでその液-液界面に多層化されたニッケルビスジチオレンナノシートを光沢のある黒色物質として得た。その組成、構造、形状をSEM、BDS、XPS、TEM、IR、PXRDにより同定した。さらに単層および数原子層のメタラジチオレンナノシートを、気-液界面で錯形成させるというユニークな手法により作成した。AFMとSTMにより、単層のジチオレンナノシートの観測に初めて成功した。 このニッケルビスジチオレンナノシートはレドックス活性であり、その酸化状態を化学的に調節できることを見出した。全てのビスジチオレン部位が-1価の状態のナノシートの合成に成功し、酸化状態の変化による電気物性の変化を観測した。測定の結果、-1価のナノシートの導電性が6.7×10^<-3>Scm^<-1>であるのに対し、混合原子価状態では0.15Scm^<-1>と20倍も高くなることを見出した。 このように、金属イオンと有機配位子との錯形成を界面で制御するという新たな手法を用いることにより、新奇共役系ナノシートの構築に成功し、その半導体特性のスイッチングを達成した(J.Am.Chem.Soc.2013,135,2462.)。これは金属錯体の特性を共役系ナノシートに導入し、機能化させた初めての例であり、界面で合成する手法も独創的であることから、次世代の電子デバイスとしての大きな貢献が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的である物質である金属錯体による共役系ナノシートの構築を達成し、その機能性の発現に成功した。これらの成果を論文(J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 2462.)として報告し、国内外での発表も多数こなしていることからも、順調に進展しているとみなせる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、金属および配位子の種類を変更することにより、半導体ナノシートの物性をチューニングしていくことを計画している。金属イオンとしてCu,Pd,Pt,Auを、配位子としてアミノ基によるナノシートを考えている。特に、配位子としてアミノ基を用いたジイミンナノシートは、半導体特性がジチオレンナノシートとは逆のp型となることが期待できる。このジイミンナノシートをジチオレンナノシートと組み合わせることで新たな研究の分野が開拓できると考えている。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] π-Conjugated Nickel Bis (dithiolene) Complex Nanosheet2013
Author(s)
T. Kambe, R. Sakamoto, K. Hoshiko, K.Takada, M.Miyachi, J.-H. Ryu, S. Sasaki, J. Kim, K. Nakazato, M. Takada, and H. Nishihara
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 135
Pages: 2462-2465
DOI
Peer Reviewed
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