2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジピリン錯体のボトムアップ伸張によるフォトニックワイヤの開発
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12J10492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下 心平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジピリン / 蛍光 / 固相合成 / BODIPY |
Research Abstract |
(1)スチリル置換ジピリンを発光部位とするヘテロビスジピリン亜鉛錯体の合成 本研究では、適切にデザインされたヘテロビスジピリン亜鉛錯体が強い蛍光を示すことの一般性を確認することを目的とし、スチリル基を有するジピリン配位子を発光部位とするヘテロ錯体を開発した。実際に、これらは強い発光を示した。また、サイクリックボルタンメトリー測定より見積もった電荷分離状態のエネルギーは蛍光量子収率と同じ序列を示し、蛍光量子収率と電荷分離状態の関係を強く示唆する結果と言える。本研究内容は学会において発表した。 (2)ヘテロビスジピリン亜鉛錯体の固相合成 末端配位子をポリスチレンレジンに担持し、亜鉛イオン、配位子を逐次的に錯形成させることによる、単核ヘテロ錯体の合成検討を行った。最終的には目的のヘテロ錯体および、ホモ錯体の混合物が得られ、その存在比は2:1であった。本研究の成果は学会において発表した。 (3)ヘテロアザジピリンージピリンハイブリッド錯体の開発 アザジピリンは、ジピリンと同様亜鉛錯体が報告されているが、これまでその蛍光は観測されていなかった。そこで本研究では、(1)の知見より得られた蛍光量子収率向上戦略をアザジピリンに適用し、ヘテロアザジピリンージピリンハイブリッド錯体を合成した。この錯体からは、弱いながらもアザジピリン配位子由来の蛍光が観測された。本研究成果は論文にて発表した。 (4)メゾ位をアルキニル基で置換したBODIPYの開発 ジピリンBF_2錯体、通称BODIPYは最も単純なジピリン錯体であり、配位子の持つ基礎的性質の知見を得るのに適した化合物である。本研究では、メゾアルキニルBODIPYを合成し、物性解明を行った。π共役系拡張に伴う吸収および発光の長波長シフトが確認され、サイクリックボルタンメトリーおよび理論計算により、LUMOは低下するがHOMOはあまり変化しないことを明らかにした。本研究成果は論文にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、様々なジピリン配位子を用いたヘテロビスジピリン亜鉛錯体を合成し、その物性を明らかにした。このことにより、フォトニックワイヤの構成要素について系統的物性評価を行うと言う初年度の研究計画は十分達成されたと言える。フォトニックワイヤの合成手法開発においても、その原型を得ることが出来たことから予定の結果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
フォトニックワイヤ合成の鍵となる固相合成については、引き続き選択性向上のための条件検討、および複核錯体の合成について研究を進めていく。また、同時に亜鉛以外の金属(例:ガリウム、インジウム)についてもヘテロ錯体を合成し、光物性を明らかにすることでフォトニックワイヤの可能性を広げていきたい。
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Research Products
(8 results)