2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳‐機械融合システムによる環境適応行動中の昆虫脳の制御機構の解明
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12J10557
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
峯岸 諒 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | 適応能 / 脳-機械融合システム / 複数感覚統合 / 匂い源探索 / 微小脳 / 昆虫 / 内部システム / 感覚フィードバック |
Research Abstract |
動的な環境下で適切に情報処理を行う脳の機能・機構の解明は、これまで神経科学、生物学、認知心理学、ロボット工学など、多岐の分野にわたる目標であった。本研究は、生物脳をコントローラ転用した移動ロボットである「脳-機械融合システム」を用いることで、この課題に正面から取り組むものである。 具体的な手法としては、移動ロボット上で、カイコガ匂い源探索行動の指令信号を計測し、得られた信号を独立二輪駆動ロボットの運動に変換し、匂い源探索タスクを行わせる。この時に身体を移動ロボットに置き換えていることを利用し、任意の操作を加えることで、感覚フィードバックを操作したときの、指令信号の変化を調べる。このときの、脳への入力刺激と行動出力の関係から、脳、身体間の制御システム構造の同定を行い、脳内の行動指令信号生成領域を対象とした電気生理実験を行うことにより、推定される機能構造に対応した神経機構の解明までを目指す。 平成24年度は「脳-機械融合実験システム」を用いて得られた、運動系への回転角速度操作に対する補正応答から、融合システム上の脳のフィードバック制御機能の同定、およびに効率的な匂い源探索行動への回転角速度の寄与をシミュレーション実験との併用により考察し、国際会議「XXIV Internationa lCongress of Entomology」におけるシンポジウムでの発表を行った。また、採用初年度である本年度は、受け入れ研究室である東工大倉林研究室において、脳内神経活動を計測するための実験環境を構築し、試作アンプによる脳内神経活動の計測を行った。脳内神経活動と行動を同時に計測するための実験系の構築についても行い、今後、適応的な行動と対応した神経活動を得るための基礎的な実験を行った。実験を遂行するための基盤が整ったことで、次年度以降は適応的な神経活動を生み出すための脳内情報処理機構に迫る研究結果を得て、重要な論文誌においてこれを発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
構築した実験系において得られる生物実験の結果の解析を進め、さらに感覚フィードバックによる修正を受ける行動パラメータの、行動タスクへの寄与を検証するシミュレーション、実機による実験系を構築した。今後、脳の適応能の機能解明を行いつつ、機能検証を行うための重要な研究の達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行動指令の信号として脳からの出力信号を解析対象としてきたが、これに加え、脳内部での活動の変化や情報処理機構についてもより精緻な電気生理実験を適用することでこれを解明する。生物機能・機構の解明に加え、それらの実際の行動における機能に関する検証実験をシミュレーション環境、実機実験の両方により行う。
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Research Products
(7 results)