2012 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶多孔質固体中に生成する吸着酸素秩序体の構造および磁性研究
Project/Area Number |
12J10567
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高崎 祐一 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガス吸着 / 単結晶ホスト / 酸素分子磁性 |
Research Abstract |
申請者は既存の多孔性単結晶ホストだけでなく、より多種の多孔性固体におけるガス低次元秩序体を生成させ、系統的な磁性研究へと展開するため、研究の初期段階として、単結晶ホスト[M_2(bza)_4(pyz)]_n(M=Cu,Rh,bza=benzoate,pyz=pyrazine)と類似の一次元鎖構造を有する銅錯体の合成とそのガス吸着特性の観測およびガス包接構造決定を行った。種々の安息香酸誘導体、ピラジン誘導体のうち、芳香環の4位に置換基(シアノ基、フルオロ基)を有する安息香酸誘導体と2-メチルピラジンを用いて、一次元鎖錯体が分子間力で集積した多孔性金属錯体[Cu_2(4-Rbza)_4(2-Mepyz)]_n(R=CN,F,Me=Methyl)の合成に成功した。今回合成した単結晶ホストは、結晶溶媒が抜けた後も単結晶形状を維持したため、種々のガス状ゲストの吸着測定およびガス包接時の単結晶X線構造解析を行った。77KにおけるH_2,N_2,O_2,Arの吸着測定を行った結果、R=CN,Fの各場合で、それぞれ銅二核あたり最大2.7および2.1分子(H_2),1.3および1.5分子(N_2),2.2および3.4分子(O_2),0.13および0.5分子(Ar)吸着した。O_2の吸着線に着目すると、10^<-2>torrの低圧領域からの急激な吸着量増加が明らかとなった。これは、細孔内O_2配列構造の磁性測定において、実験操作上有利な点である。O_2ガス雰囲気下における単結晶X線構造解析(90K)を行った結果、細孔内部のゲスト占有率から算出した吸着量は、2.0分子(R=CN),3.0分子(R=F)であり、ガス吸着測定の結果と近い値を示した。また、各単結晶ホストにおいて、O_2分子三量体の形成が明らかとなった。本年度の研究成果により、細孔サイズ、形状が異なる単結晶ホストを用いた酸素分子配列の磁性研究へとスムーズに移行することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、様々な多孔性単結晶ホスト内に酸素などの常磁性ガス分子を規則配列させ、各ホスト間での磁性の比較が必要である。24年度は、目的の新規多孔性金属錯体を合成するまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、主に新規多孔性金属錯体の合成研究に時間を割いたことにより、物質拡張における方針が明確になった。今後は、これまでの合成研究と並行して、新規多孔性金属錯体のガス吸着特性の観測、酸素などのガス包接結晶構造解析、酸素包接時の磁気測定を系統的に行う。
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