2013 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算に基づく二酸化チタン高圧相固溶体の合成と常圧安定化
Project/Area Number |
12J10639
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
村田 秀信 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高圧合成 / 二酸化チタン / 光触媒 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
高圧下では、物質が常圧下とは異なる結晶構造・物性を示すため、高圧合成を有効に利用できれば材料設計の選択肢が大幅に広がる。しかしながら、高圧相は必ずしも常圧下に回収できるとは限らない。また、本研究で対象とした二酸化チタンの高圧相の中でα-PbO_2型TiO_2は常圧下に回収可能であるが、光触媒特性などの物性に関しては明らかになっていない。そこで、本年度はα-PbO_2型TiO_2に関する光触媒特性の評価と、より高い圧力で安定となるbaddeleyite型TiO_2の固溶体形成による回収を試みた。 光触媒活性の評価のためのα-PbO_2型TiO_2試料の合成はベルト型高温高圧装置を用いて、7.7GPa, 1100℃で合成を行った。得られた試料の粒径は2μm程度であり、灰色を呈していた。大気中200℃以上で熱処理を行うと白色となったことから、酸素欠損が導入されていることが考えられる。第一原理計算では、α-PbO_2型TiO_2のバンドギャップは間接遷移型であり、anatase型、rutile型TiO_2より広いバンドギャップを示した。EDTA-2Naを犠牲剤として、水素発生量により光触媒活性の評価を行ったところ、紫外光照射下においてanatase型、rutile型TiO_2よりも高い光触媒活性を示した。また、灰色を呈した試料では可視光照射下においても水素発生が確認され、可視光応答化が可能であることが示された。 一方、より高い圧力で安定となるbaddeleyite型TiO_2を常圧下に回収することを目指し、CeO_2との固溶体形成による常圧安定化を試みたが、7.7GPa、1300℃領域においてはα-PbO_2型TiO_2とCeO_2の二相分離、1500℃以上においてはCeO_2の還元によりCeTiO_3の生成が見られ、baddeleyite型TiO_2は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
baddeleyite型TiO_2の常圧安定化は叶わなかったが、α-PbO_2型TiO_2(TiO_2-II)の光触媒活性およびその関連基礎物性の評価は、rutile型、anatase型TiO_2よりも高い光触媒活性を示すという特筆すべき結果が得られ、順調に進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
α-PbO_2型TiO_2(TiO_2-II)に関して、ナノ粒子化や各種ドーパントの添加を行い、可視光応答化を含む特性の改善を目指す。また、α-PbO_2型TiO_2より高圧で安定となるbaddeleyite型TiO_2の常圧安定化を目指し、より高い圧力において合成および回収を試みる。
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Research Products
(4 results)