2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノデバイスでの原子レベル構造変化(ダメージ)と低ダメージ評価手法の研究
Project/Area Number |
12J10653
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小濱 和之 大阪大学, 接合科学研究所, 特任研究員
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Keywords | ヘリウムイオン顕微鏡 / シリコン / タングステン / ピラー |
Research Abstract |
本研究では、ヘリウムイオン顕微鏡内にタングステンカルボニルガスを導入し、二次電子誘起ガス分子解離反応により単結晶Si基板表面にタングステン基ピラーを形成させた。ビームエネルギーやビーム電流など種々の照射条件を変化させ、形成されたピラーの形状、結晶構造、成長速度などを、収差補正走査透過電子顕微鏡などを用いて観察・評価すると同時に、ビーム照射により基板に形成されたダメージを定量的に観察・評価し、これらの結果を総合して、極微細ヘリウムイオンビームと材料の相互作用について考察した。 ピラーの詳細観察の結果、ピラーの中心部に数nm幅の柱状ボイドが観察され、ビーム照射位置におけるエッチングの発生が示唆された。一方、ピラーとSi基板の界面においてSi基板のアモルファス化および隆起が観察された。ビーム照射により単結晶Siがアモルファス化し、体積増大により隆起したと考えられる。種々のビーム照射条件を変化させると柱状ボイド幅およびSi隆起高さは変化したが、ビーム照射条件に直接依存しているわけではなく、ピラー堆積速度が増大するほどこれらは減少した。この結果から、(1)柱状ボイド幅はビーム照射位置におけるピラー成長速度とエッチング速度のバランスで決まっていること、(2)形成されたピラーによってビームが遮蔽されるためピラー成長速度が速いほどSi基板中に打ち込まれるヘリウムイオン量が減少すること、が示唆された。ピラー形成時には、ピラー成長(ビーム照射による二次電子発生とガス分子解離反応)、柱状ボイド形成(ビーム照射によるピラーのエッチング)、Si隆起(ビーム照射によるSi基板のアモルファス化)、という少なくとも3つの現象が競合しており、柱状ボイド幅とSi隆起高さはともに種々のビーム照射条件に直接依存しているわけではなく、ピラー成長速度に依存していることがわかった。
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Research Products
(7 results)