2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10677
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土井 昭宏 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒト免疫不全ウイルス / HIV関連神経認知障害 / viral protein R / 内在性レトロエレメント / 自然免疫 / 逆転写酵素阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のエイズ治療薬の開発によってヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の生命予後は著しく改善した。しかし、HIV関連神経認知障害(HAND)が臨床上の問題となりつつあり、その原因として、中枢神経系に感染したウイルスから産生されるviral protein R (Vpr)の関与が示唆されている。私が所属する研究室の解析から、Vprは内在性レトロエレメントであるlong interspersed element-1(LINE-1; L1)の転移(L1-RTP)を誘導することが示唆されている。このような背景の中で私はまず、リコンビナントVpr(rVpr)をマウス腹腔内に投与することで、中枢神経系組織でL1-RTPが誘導されることを明らかにした。そして、rVprを連続投与すると記憶想起障害が誘発され、この現象が逆転写酵素阻害剤であるスタブジン(d4T)の同時投与により抑制された。 近年、HIVを感染させたマクロファージ様細胞からI型インターフェロン(IFN)が産生され、STAT-1のリン酸化を介して神経細胞死が誘導されることが報告された。そこで、マクロファージ様細胞にrVprを添加したところ、IFNの産生およびSTAT-1のリン酸化がd4T依存的に誘導されることが明らかになった。神経細胞死の誘導因子であるグルタミン酸を産生する、グルタミナーゼCの発現およびグルタミン酸濃度に関しても、rVprによってd4T依存的に上昇することを今回明らかにした。さらに、逆転写DNA産物のセンサーとして知られているcGASおよびSTINGを欠損した細胞クローンを用いた解析の結果、これらの遺伝子がrVprによるIFNシグナル経路に関与することが明らかになった。本研究結果から、L1の中間産物をcGAS-STINGが認識し、IFNシグナル経路を誘発することにより、中枢神経系異常が惹起されることが示唆された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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