2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボンへの高濃度ドープ手法の開発と薄膜・エネルギーデバイス応用
Project/Area Number |
12J10710
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤澤 一範 信州大学, 総合工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノカーボン / グラフェン / カーボンナノチューブ / 異種元素ドーピング |
Research Abstract |
本年度の研究では、1)異種元素を高濃度ドープしたグラフェンの電気化学特性評価、2)ホウ素をドープした金属/半導体ナノチューブの電気伝導特性評価を行った。 1.異種元素を高濃度ドープしたグラグラフェン グラファイトをHummer法により酸化・剥離し、多くの酸素を含有する酸化グラフェン(GO)を調製した。このGOに対し、窒素プラズマ及びホウ素の熱拡散による窒素ドープ、ホウ素ドープ、窒素ホウ素共ドープを行った。窒素ドープグラフェンは~1%の窒素を含み、ホウ素ドープグラフェンは1~2%のホウ素を含んでおり、共ドープを試みた所、窒素とホウ素を併せて3~4%のドープに成功した。電気化学特性評価を行った所、硫酸水溶液中での電気二重層キャパシタ特性はドープにより4倍に向上した。XPSによる化学結合状態解析から、低温で熱処理を施したグラフェンでは異種元素がエッジ部に酸素と共に存在しており、BCOやBNO構造がキャパシタ特性向上への寄与が大きいことと共に、エッジにおけるドープの重要性が示唆された。 2.ホウ素をドープした金属/半導体ナノチューブの電気伝導性特性評価 半導体/金属分離が施された単層カーボンナノチューブ(CNT)に対してホウ素ドープを施し,電気伝導性との相関を明らかにした。ホウ素ドープを施した半導体CNTでは,ドープ量の向上に伴う電気伝導性の向上が確認された.抵抗率は最大でドープ前の1/50に低減され,ホウ素による不純物準位の形成およびFermi準位の低下の作用によることが示唆された。これに対し,ホウ素ドープを施した金属CNTでは,電気伝導メカニズムは金属に近づいているものの電気伝導性は低下した。これは結合距離の異なるホウ素-炭素結合の導入によることが示唆された。以上よりCNTでは半導体性/金属性によってホウ素ドープの効果が変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェンを基本とした系に窒素・ホウ素を添加することによる電気二重層キャパシタ特性の向上に成功した。窒素・ホウ素に対しては十分に安定なドーピングを行うことが出来たが、硫黄、リンにおいてはドーピング手法の安定化が十分でなく、構造解析も不十分となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素・ホウ素を用いたドーピングでは、プラズマおよび熱拡散を併用することにより高濃度ドーピングが達成できた。次は硫黄やリンをグラフェンおよびカーボンナノチューブの格子中に添加することによる機能化を図る。硫黄やリンを含有した炭素材料の構造解析の報告は少なく、高分解能透過型電子顕微鏡観察中における詳細な構造解析を行うことにより、ドーピング形態の解析を行う。硫黄、リンの各元素が単元素で不安定であれば、窒素やホウ素を併用することにより安定化を図る。またエッジにおけるドーピングの有用性が示唆されたため、エッジへの選択的ドーピングについても実験を進める。
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