2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳内単一細胞モザイク解析法および光遺伝学による樹状突起ターゲティング機能の解明
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12J10724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 美紗子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 樹状突起 / 嗅覚系 / 投射神経 / ショウジョウバエ / 微小管 |
Research Abstract |
機能的な神経回路を形成するためには、神経細胞の樹状突起と軸索がシナプス結合領域へ伸長し、正確に配線する必要がある。これまでの研究によって、多くの軸索ガイダンス分子が同定され、その分子メカニズムが明らかになってきた。しかし、樹状突起ターゲティングの分子機構はあまり知られていない。そこで本研究ではショウジョウバエ嗅覚系投射神経に遺伝学的モザイク法(MARCM法)を適応し、単一神経細胞を操作することによって樹状突起ターゲティングの分子機構の解明を目指している。 投射神経にMARCM法を適用すると、野生型の単一細胞は100%の割合で1つの糸球体のみに投射した。一方、ds変異ホモ接合体投射神経では、70%という高い割合で、正しい糸球体と異所的な糸球体へターゲティングするという異常がみられた。しかしこのターゲティング異常はdsの変異によるものではなく、バックグラウンドに含まれていた他の遺伝子の変異によって引き起こされていることが明らかとなった。この原因遺伝子を遺伝学的マッピング法(SNPマッピング、欠失系統とP因子挿入系統を用いた相補性試験)によって同定した。この原因遺伝子は進化的に保存されており、細胞骨格分子である微小管の形成に不可欠であることが知られているが、樹状突起のターゲティングにどのように寄与しているかはわかっていない。今後この遺伝子の機能解析を進めることによって、微小管の形成に関わる因子がどのように樹状突起ターゲティングに関わっているか明らかにする。 これまでの研究の成果を日本ショウジョウバエ研究会など複数の学会・研究会で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状突起ターゲティング異常を示す変異体の原因遺伝子を計画通り同定することができた。今後その遺伝子の機能解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定した原因遺伝子が樹状突起ターゲティングにどのように寄与していくか明らかにしていく。原因遺伝子がコードしているタンパクの抗体を作成し、脳内での発現や細胞内での局在を観察する。その他の微小管の制御に関わる因子が樹状突起ターゲティングに関わっているかをノックダウン系統や変異体を用いて検証する。また酵母ツーハイブリッド法を用いて相互作用する分子を同定し、樹状突起ターゲティングへの関わりを調べる。 研究計画の変更・問題点は特にない。
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Research Products
(4 results)