2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10761
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
二橋 美瑞子 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 分散型動原体 / 局在型動原体 / 染色体 / カイコ / ヨトウガ / Ndc80 |
Research Abstract |
動原体は、細胞分裂の際、複製された染色体を2つの新しい細胞に正確に分配するために重要である。ヒトなど多くの真核生物では、動原体は染色体の一か所に局在しているが、カイコなど鱗翅目昆虫では、複数の動原体が染色体中に散在して存在する「分散型の動原体」の様式となっている。分散型動原体を持つ染色体は、放射線等により切断されても、世代を超えてその断片が保持可能になるなど興味深い性質を持つが、局在型動原体に比べ、その仕組みについては不明な点が多い。本研究課題では、分散型動原体を持つカイコと、局在型動原体を持つキイロショウジョウバエの動原体の比較解析により、分散型動原体の構造及びその進化の解明を目指す。局在型動原体の主要な構成タンパク質の中には、カイコゲノムで見つからないものも存在するため、カイコでは新規な動原体タンパク質も期待できる。 本年度は、BmN4のRNAi簡易化培養細胞株BmN4SID1を入手し、cdc27のRNAiを行って細胞分裂中期の細胞が多く観察できる条件を絞り込むことができた。また、抗αチューブリン抗体の免疫染色により微小管を可視化する実験系の立ち上げを行い、細胞分裂中期の細胞で、スピンドル微小管が染色体に伸びている様子を観察することが出来た。EGFP-Ndc80遺伝子についても、生細胞で分裂中期の染色体に沿って局在を観察することが出来た。今後、EGFPの抗体染色を行うことにより、Ndc80,染色体、スピンドル微小管の局在を同時に観察していく予定である。また、ヨトウガ(Spodopterafrugiperda)培養細胞Sf9から、Ndc80遺伝子の全長クローニングを行った。カイコとの相同性はアミノ酸で67%であった。Sf9細胞の方が、Bmn4細胞より圧倒的にトランスフェクション効率が良いため、今後、Sf9細胞も用いて局在解析をしていく予定である。また、確実に染色体に外来遺伝子を導入する方法として、遺伝子組換えカイコ作出に使用しているpiggyBacトランスポゼースによる遺伝子導入システムを利用することが考えられた。このシステムの改善は、遺伝子の局在解析にも大いに役立つと考えられるので、次年度に注力していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイコのNdc80の局在解析、微小管の染色、ヨトウガNdc80のクローニングなど着実に研究を進めることが出来た。動原体タンパク質の精製のため、外来遺伝子を安定的に発現する培養細胞株を得る方法を検討し、効率の向上の策として、確実に染色体に外来遺伝子を導入する方法に、遺伝子組換えカイコ作出に使用しているpiggyBacトランスポゼースによる遺伝子導入システムを利用することなどを導き出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
カイコのNdc80の局在解析・相互作用タンパク質の解析を中心に、カイコの分散型動原体の挙動と構成要素の解明を進める。さらに、Mis12・Ndc80遺伝子のショウジョウバエ・カイコにおける比較解析により、分散型動原体の進化過程を探る。タンパク質側の解析を精力的に進めるため、動原体が結合するDNA側の配列の解析の優先順位は下げる。
|
Research Products
(5 results)