2012 Fiscal Year Annual Research Report
衣服用接着芯地の力学特性を考慮した最適設計に関する研究
Project/Area Number |
12J10795
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金 キョンオク 信州大学, 繊維学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 芯地接着布 / 曲げ剛性 / せん断剛性 / 中立面 / 伸長弾性係数 / 圧縮弾性係数 |
Research Abstract |
本研究の目的は衣服の芯地の接着により布の物性が変わることから芯地接着布の曲げ剛性とせん断剛性の予測方法を通じて、衣服の工学的設計に必要な布の力学特性の制御方法を解明することである。研究実施計画では曲げ剛性の予測モデルの理論の構築と、その方法の朱子織物と編物への妥当性を検討する実験を行い、その実験結果から理論の提案することである。また、接着剤の芯地の生地と布への浸み込みの影響を明らかにし、芯地接着布のせん断剛性の予測方法を提案することである。 衣服製作に用いられる芯地の効果を予測するために、力学特性の中でも芯地接着による変化の大きい曲げ剛性とせん断剛性に着目し、表布と芯地の特性から芯地接着布の特性を理論的に予測し、実験的に検証を行った。 曲げにおける中立面がかならずしも図心にないこと、すなわち曲げにおける伸張と圧縮の弾性係数が異なる点を考慮した新たな積層材の曲げ剛性予測式を理論的に導出し、これを用いた曲げ剛性の予測理論を構築し、実験によりその有効性を示した。 また、糸交差点と接着剤の量を考慮した芯地接着布のせん断剛性の予測方法を提案し平織を用いて実験を行いその妥当性を検討した。芯地接着布のせん断剛性は接着剤によって糸間の交差点が固定されることで大きくなり、接着剤量に大きく依存することが分かった。 この結果を基にして、芯地接着剤量によるせん断剛性の予測モデルの提案を行い、芯地接着布のせん断剛性の予測が可能になった。非連続体である織物の積層時の曲げ剛性を実用面と、厳密な理論面から予測する方法を新規に提案・検証している点で繊維工学分野で高い学術的価値を有する。また、この研究は衣服設計における芯地選択の実用面からも価値の高い研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
衣服の芯地の接着により布の物性が変わることから芯地接着布の曲げ剛性とせん断剛性の予測方法を通じて、衣服の工学的設計に必要な布の力学特性の制御方法を解明することであり、より精度が高い予測方法の提案が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
芯地の接着による物性の変化に関する予測方法の研究に引き続き、芯地と衣服のシルエットと着心地との関係を調べる研究を行う。物性の違う芯地によるジャケットのシルエットの評価に関して、専門家らにより行われる項目に着目した官能評価と外観の三次元計測の結果を比較する実験と芯地によるジャケットの着心地へ関する研究を現在行っている。芯地を変えた同じジャケットの試料を用い着心地の官能検査と着圧センサを用いたジャケットの着圧感の関係を調べる予定である。両者の関係から芯地による布の物性の変化に伴う衣服の着心地とシルエットの関係を予測する方法を提案する。そこで、各物性の予測式とシルエットと着心地の関係から適切な芯地接着布の範囲を探ることができると考えられ、芯地接着布の特性が予測できると考えられる。
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Research Products
(18 results)