2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸化還元活性型配位子の設計に基づく不活性C-H結合の触媒的直截変換
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12J10917
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 高史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸化還元活性型配位子 / 第一列遷移金属 / コバルト / ヒドリド / 複素環 / ピリジン / 位置選択的アルキル化 |
Research Abstract |
以前に提出した年度計画の通り、Redox active ligandの設計及び合成を行い各金属種との複合体を網羅的に構築した。具体的には金属種は第一列遷移金属であるマンガン、鉄、コバルト、ニッケルを用い、ligandとしてはbis(imino)pyridine ligandのような2電子メディエーターとしての機能をもつもので二座配位以上のものを中心に錯体合成を行った。それら錯体を系中で還元し電子richな金属錯体によるアリールsp^2のC-H活性化に続く不飽和結合への挿入反応を試みた。配向基としてはエステル、アミドやピリジン等を検討した。その過程において還元剤としてLiBEt3H、金属中心としてはコバルトを使用した際に目的の反応が進行することを見出した。種々の反応機構解析の結果、当初想定していたC-H結合の酸化的付加/不飽和結合の挿入/還元的脱離といった反応形式では進行せずにコバルトヒドリド種の形成/不飽和結合のヒドロメタル化/ピリジン環への求核的付加/ジヒドロピリジン中間体の酸化によるコバルトヒドリド種の再生により進行していることが示唆された。3位にメチル基を持つピリジン誘導体においても高いC4選択性を保持することから本反応は立体的要因より電子的要因により位置選択性が実現していることが示唆された。また意外なことに本反応にはredox active ligandは必須要因でなかった。しかしながら種々の条件検討の結果、ほとんど前例のないピリジンのC4位選択的なアルキル化が達成でき、更触媒回転は3440に達する高効率反応を確立することに成功した。今後は本反応系を更なる基質一般性の拡大と詳細な反応機構解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一列遷移金属の知られていなかった反応性を引き出し、ほぼ前例の無い反応である直截的C4選択的ピリジン環アルキル化を達成し、論文を一報報告するに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の見出した反応の基質一般性の拡大のため触媒のチューニングを行う。既に我々はある種のredoxactiveligandを有した金属錯体において同種の反応が進行することを見出しているため、それに基づきリガンドの設計及び合成を行う。また反応機構の詳細な検討を行う。
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Research Products
(3 results)