2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J10970
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 義剛 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全合成 / ジテルペノイドアルカロイド / デヌダチン骨格 / レペニン / Diels-Alder反応 / Mannich反応 / ピシクロ骨格 / 立体制御 |
Research Abstract |
ジテルペノイドアルカロイドには、複雑な骨格を有する天然物が多く属する。その一部の天然物に共通するデヌダチン骨格と呼ばれる構造は、ビシクロ[2.2.1]骨格やビシクロ[2.2.2]骨格を含む極めて複雑な構造である。生理活性の強いアコニチン型の骨格へと化学変換ができることが知られており、非常に魅力的な標的化合物であるにも関わらず、その構造の複雑さ故に、デヌダチン骨格を有する天然物の全合成は未だ達成されていない。私は、デヌダチン骨格を有する天然物であるレペニンの初の全合成を達成した。まず、安価に入手可能なオルトバニリンから誘導したトリエンに対し、加熱条件下分子内Diels-Alder反応を行うことにより、立体化学を制御しながら3つの6員環を有する化合物を得た。次に、その骨格上で、分子内Mannich反応によりビシクロ[2.2.1]骨格を、エチレンとのDiels-Alder反応によりビシクロ[2.2.2]骨格を構築し、デヌダチン骨格を短段階で構築することに成功した。さらに、複雑なデヌダチン骨格上での官能基変換を巧みに行うことによって、レペニンに特徴的な酸素官能基の立体選択的な導入に成功し、レベニンの合成を達成した。今まで構築が困難であると考えられていたデヌダチン骨格を、古典的な反応を組み合わせて用いることによって、短段階で構築できることを見出した点で本研究の意義があると考えている。これは、合成化学の可能性を示すことができたのみならず、アコニチン型のジテルペノイドアルカロイドの効率的な合成につながるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラセミ体での全合成を達成することができ、一定の目処を立てることができた一方で、光学活性体での合成、より短段階での合成などの残された課題も残っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ラセミ体ではなく、光学活性体としての全合成を目指す。今までの合成では、フェニル酢酸誘導体のα位でのアルキル基によって立体中心の構築を行っていたが、これを不斉反応にて実行することで立体中心を選択的に構築できると期待している。また、デヌダチン骨格構築後の官能基変換については、より短段階での変換が可能であると考えている。保護基の脱着、酸化段階の調整を行う段階を削減することによって、総工程の短縮を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)