2014 Fiscal Year Annual Research Report
その場顕微赤外分光システム構築と水反応場解析への展開
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12J11009
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
宇部 卓司 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 赤外分光 / 水 / 超臨界水 / 細胞 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水溶液並びに液中で生きた細胞を赤外分光することができる装置を開発し、本装置の適用範囲が物理化学から、生物・医学分野まで及び生きた細胞の代謝の様子等、これまで測定することが困難であった事象をその場観察できることを実証してきた。特に、生きたマウスの胚細胞の赤外吸収スペクトルの経時変化を測定した結果、ガン細胞(MCA205)が正常細胞(NIH3T3)に比べて解糖系によるATP算出に偏っているというワールブルグ効果を、代謝生成物である乳酸の濃度増加という現象で捉えることに成功した。今後は細胞レベルの測定を組織レベルまで拡大することで、赤外分光によるガン診断の臨床応用へ発展させていくことが期待される。 しかし、研究を進めるにつれて反応場たる水の分光学的な特徴の重要性が示唆されてきたため、一旦基礎研究に立ち返り、水そのもののスペクトルの詳細な測定と第一原理計算による構造と赤外吸収のシミュレーションを行い考察を行った。その結果、臨界温度(648K)以上の水蒸気の状態では水分子が単体で回転振動をしている状態から圧力を増大させていくと、水分子の二量体中の水素結合したOH・O結合に起因すると考えられるピークが出現し、過去のマススペクトルと赤外分光を組み合わせた研究の論文及び、本研究で行われた計算機シミュレーションによって検証された。さらに圧力を増大させていくと、三量体以上の水分子の集合体の出現が確認されたが、これらを定量的に分離することは現時点で不可能であった。従って水を赤外分光で観察した場合、水の構造はその赤外吸収スペクトルから『水分子単体』『二量体』『三量体以上』という3つの状態の重ね合わせで表現できることが示され、温度・圧力の変化によってそれぞれの割合が変化することで、水・超臨界水・水蒸気の3つの状態を表現できることが示された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)