2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓用アキシャル型磁気浮上モータの小型化・高効率化に関する研究
Project/Area Number |
12J11077
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長 真啓 茨城大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高効率化 / アキシャル型 / 磁気浮上モータ / 乳児用人工心臓 / 5自由度制御 / 漏れ磁束 / 小型化 / 能動制御 |
Research Abstract |
本研究は人工心臓に用いる磁気浮上モータを理論的にどこまで高効率化,小型化できるかを明らかにすることを目的とする.今年度は,設計の観点からアキシャル型磁気浮上モータの高効率化,小型化を行った.乳児用人工心臓のアクチュエータとして用いる磁気浮上モータを設計対象とした.ロータの5自由度(軸方向z,径方向x,Y,径方向軸周りの回転θ_x,θ_Y)を能動的に制御する機構を有するダブルステータ構造のアキシャル型磁気浮上モータを新規に考案した.アキシャル型磁気浮上モータの設計には有限要素法三次元電磁界ソフトANSYSを用いた.磁気浮上モータに用いる永久磁石および電磁石から生じる漏れ磁束がモータの効率低下へ影響し,磁気浮上モータの小型化とアキシャル型の構造が漏れ磁束を増加させていると考察し,磁場解析ではアキシャル型の磁気浮上モータの漏れ磁束を詳細に評価できるように解析モデルを作成し,数値シミュレーションを行った,磁場解析により外径28mm,全長41mmの小型なアキシャル型磁気浮上モータを設計した.次年度に設計したアキシャル型磁気浮上モータのエネルギ効率および動特性を評価するために,磁気浮上モータ実機を製作した。製作した磁気浮上モータはロータの5自由度を磁気的に支持する.このため,ロータを磁気支持するのに十分な支持力が得られるか確認するために,軸方向吸引力,径方向吸引力,径方向軸周りのトルク評価用の実験装置を専用に製作し,評価を行った.同様に,モータ回転トルクについても評価を行った.製作した磁気浮上モータはロータの5自由度を能動制御するのに十分な磁気支持,回転性能を有していることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
漏れ磁束の影響を詳細に考慮した三次元磁場解析を用いて,十分小型なアキシャル型磁気浮上人工心臓を設計し,製作および評価まで完了し,25年度の研究実施計画以上の伸展があったものと考える.また,5自由度制御型磁気浮上モータを新規に考案し,大学を通し特許出願を行っており申請書以上の取り組みをした.研究成果については,国際学会1回,国内学会3回に出席し,研究内容の発信も十分に行ったものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に製作した5自由度制御アキシャル型磁気浮上モータの磁気浮上,回転制御方式を検討することにより,磁気浮上モータの高効率化を図る,ロータの軸方向位置制御および回転制御には電流値ベクトル制御を用いる.また,磁気浮上制御にゼロパワー制御を用いることにより,ロータの自重により働く重力と磁気力を釣り合わせることができ,低消費電力化が行える.これらの制御方式を用いて磁気浮上,回転制御を行い,磁気支持および回転に対するエネルギ効率および動特性を評価する.これより,最適な駆動方式を確立することで磁気浮上モータの高効率化を図る.最終的に,血液ポンプに磁気浮上モータを組み込み,乳児用人工心臓としてのエネルギ効率を検証する.
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