2012 Fiscal Year Annual Research Report
TSCシグナル伝達経路がゲノム維持に果たす役割の解明
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12J40002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 由起子 京都大学, 放射線生物研究センター, 特別研究員(RPD) (80402923)
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Keywords | トランスポゾン / 栄養源枯渇 / ゲノム / CENP-B |
Research Abstract |
トランスポゾンの転移はゲノムにとって多くの場合有害である。本研究では、TSCシグナル伝達経路に関わる因子が栄養源枯渇という外部刺激によってどのようにトランスポゾンの発現、転移の制御に関与しているのかを明らかにすることを目的に研究を行った。平成24年度は、これまでの知見をふまえ、大きく3つの可能性を検証した。 ① トランスポゾンの転移がモニターできる細胞の作成 (結果)内部に人工的なイントロンを仕込んだkanamycin selection typeの配列を持った細胞を準備した。 ② tsc欠損株のDNA損傷を引き起こす薬剤に対する感受性の確認 (結果)DNA損傷を引き起こす薬剤ヒドロキシウレア、ブレオマイシン、カンプトテシン、紫外線処理した細胞の生育を観察した。トランスポゾンの発現を抑制することが知られている因子CENP-Bの変異株(abp1, cbh1, cbh2)に関しても、同様に観察した。結果的に、tsc欠損株ではどの薬剤に対しても特に強い感受性を示すことはなかった。 ③ トランスポゾン発現の可視化 (結果)より簡便にトランスポゾン発現を観察するために、GFPで可視化できる細胞を作製した。その結果、トランスポゾン発現はGFPの蛍光でモニターすることに成功し、興味深いことに、細胞質に2~3個のフォーカスを形成することがわかつた。 ④ 分裂酵母TORC1 (Tor2)のトランスポゾン発現の観察 (結果)tsc2欠損株で見られる窒素源枯渇に伴うトランスポゾン発現は、tor2欠損株で抑圧された。このことから、TSC-Rhb1-TORC1経路によつてトランスポゾン発現の制御がなされている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学術誌への論文投稿準備を平行しつつ、本テーマの土台となる研究を地道に且つ着実に遂行している。 また、アウトリーチ活動として、平成24年12月26~28日 研修会「放射線生物学へのイザナイ」の講師として参加。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、TSCシグナル伝達経路とトランスポゾンとの関連を調べる。また、この研究を進める中で、オートファジーとの関係が浮上してきた。tsc欠損株で見られるトランスポゾンの発現誘導が、トランスポゾン発現抑制因子CENP-Bの機構の破綻によるものなのか、はたまた、オートファジー機構の破綻によるものなのかの検証を今後行う予定である。
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