2014 Fiscal Year Annual Research Report
適応的な昆虫発育を制御する受容体を介したステロイドホルモン生合成調節機構の解明
Project/Area Number |
12J40063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 裕子 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エクジステロイド / セロトニン産生神経 / 前胸腺 / キイロショウジョウバエ / ステロイドホルモン / オクトパミン / セロトニン / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの生物個体の発育や成熟はステロイドホルモンによって誘導される。ステロイドホルモンは、外環境に応じて、適切なタイミングで適正量作られることが重要である。例えば、成長期に栄養が十分でない場合、ステロイドホルモン生合成のタイミングが遅れることで、成熟が遅れる。ステロイドホルモン生合成のメカニズムを理解するためには、外環境が生合成器官に伝えられる仕組みを調べることが重要である。 昆虫ステロイドホルモンはエクジステロイド(脱皮ホルモン)と呼ばれ、脱皮や変態を誘導する。キイロショウジョウバエの幼虫は、摂取した栄養量に応じて蛹になるタイミングが変化することから、何らかのシグナルが栄養に応じてエクジステロイド生合成を調節すると予想される。そこで本研究員は、そのようなシグナルの候補としてセロトニンとオクトパミンに注目し、その役割を追究した。 まず本研究員は、エクジステロイド生合成器官「前胸腺」にセロトニン産生神経が投射することを新たに見出して、SE0PGと名付けた。SE0PG神経の機能を抑制すると、エクジステロイド生合成遺伝子群の発現が減少し、エクジステロイド生合成量が低下した。興味深いことに、SE0PG神経の投射パターンは、幼虫の栄養状態によって変化し、栄養依存的な蛹化タイミングと密接に相関した。さらに、本研究員は、セロトニン受容体・オクトパミン受容体の機能を前胸腺で抑制した場合にもエクジステロイド生合成阻害が起こることを明らかにした。 これまでの研究では、主に前胸腺刺激ホルモンやインスリン等の神経ペプチドが注目されてきた。それに対して本研究は、神経伝達物質として有名な生体アミンが作用することを初めて示した。さらに、栄養依存的な神経の形態変化と役割が密接に関わることも示した。今回の発見は、ステロイドホルモン生合成調節機構の新たな仕組みを解明したものである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
EconomicNews2014年12月21日、日刊工業新聞2014年12月22日、科学新聞2015年1月1日(ウェブ8日)、nature asia 注目の研究2015年2月4日、太田出版『ケトル』Vol23「日本最先端の頭の中身」2015年2月14日
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