2013 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌のリグニン・糖質分解関連遺伝子間転写ネットワークの解明
Project/Area Number |
12J40096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 理江 京都大学, 生存圏研究所, 特別査研究員(RPD)
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Keywords | 白色腐朽菌 / C. subvermispora / リグニン分解 / Auto-2D |
Research Abstract |
木材中のリグニンを選択的に分解する白色腐朽菌C. subvermisporaのリグニン分解機構と糖質加水分解機構の関連について明らかにするため、炭素源(糖)の違いによるリグニン分解酵素、および糖質分解酵素の発現を調べた。 液体培地および、プレート培地に添加する唯一の炭素源となる糖、グルコース、セロビオース、セルロ一ス(結晶性 ; アビセル、非結晶性 ; カルボキシメチルセルロース)、キシロ一ス、キシロビオース、キシロトリオース、キシロオリゴ糖等の濃度を変えて添加し、さらにリグニンモデル化合物であるPolyR-478を添加し、菌体生育とリグニン分解能を調べた。これまでの研究で、糖の種類によってPolyR-478の色素分解様式が異なることを見いだしている、今回、プレ一ト上で培地中の糖の濃度を変えてもPolyR-478の色素分解自体に大きな影響は見られなかったことから、少量の糖の存在でもリグニン分解酵素の発現促進および抑制に寄与する可能性が示唆された。次に、糖培地の違いによる遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで調べるため、リグニン分解酵素である、マンガンペルオキシダーゼ(Mnp)とラッカーゼ(Lac)、およびゲノムDNA上の遺伝子のアノテーションを行い見いだした未報告のキシロース代謝系酵素のプライマーを作製した。各種糖培養した菌体よりRNAを抽出し、リアルタイムPCRを用いて遺伝子の発現量を測定するための測定方法を確立した。それを用いて現在、各種糖培地での培養時間を変えて、RNAを抽出し、それぞれの遺伝子の発現量を時間単位で測定している。 また、方法が確立されていないAuto-2Dの条件検討を市販酵素の糖質分解酵素を用い行った。様々な条件で泳動を行い、二次元泳動に必要なタンパク質量、酵素タンパク質の精製条件などを確立することができた。さらに得られたスポットからMALDI-TOF-MSによる解析が可能であることも確認された。この成果は第64回日本木材学会大会(2014、愛媛)で報告し、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった、糖源によるリグニン分解能の培養条件等を確立することが出来た. また、リアルタイムPCRのプライマー作製や条件検討を行い、実際のサンプルでの解析を始めることができた。また、プロテオーム解析ではAuto-2Dを尊人し、解析に必要なタンパク質量などを詳細に検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
リグニン分解酵素と糖質加水分解酵素の転写量の測定 糖源の違いにより発現が変動したリグニン分解酵素と糖質分解酵素の転写駄を定最的に測定し、どの糖がどの酵素の発現を促進および抑制するのかを明らかにする。 転写因子の同定 それぞれの酵素をコードした遺伝子のプロモーター/エンハンサー配列と推定される部分に結合する転写因子タンパク質をゲルシフトアッセイに供し、シフトしたバンドに含まれる、転写に関わるタンパク質を同定する。また、その転写因子の発現量を、炭素源の異なる培養で得られたcDNA、より、リアルタイムPCRで測定する。以上のデータと照合し、どの転写因子がどの酵素の発現制御に関与するかを解明する。
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Research Products
(1 results)