2014 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体のマトリックス振動分光における特異的希ガス効果の理論的解明
Project/Area Number |
12J40130
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 ゆり子 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 希ガス化合物 / ab iniito / 振動回転準位 / Vibrational CI / 分子分光 / 遷移金属カルボニル / アルゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
第3年度では、希ガスマトリックス振動分光実験の結果を理解するために、高精度ab initio計算により得られるポテンシャル曲面から、振動SCF(VSCF)法及び振動Configuration Interaction(VCI)法を用いて振動数と強度を求めた。PtCO, PdCO,Ar-PtCO, Ar-PdCOに対してCCSD(T)/aug-cc-pVTZレベルで構造最適化及び基準振動解析を行い、同計算レベルで作成したポテンシャル曲面の非調和性・モード間カップリングを考慮したVSCF/VCI計算を行った。強度算出に関しては双極子曲面の算出が必須であるがCCSD(T)レベルの計算は困難であるため、同じ座標でレベルをCCSDに落として計算を行った。VSCF/VCI計算では基準振動の3モードカップリングまでを含めたところ、必要となる核座標のgridの総数は3原子分子で約4600点、4原子分子で約37000点となった。すべてのgridで電子状態計算を行い、得られたエネルギー及び双極子モーメントを用いて振動準位ならびにスペクトル強度を計算した。PtCOの変角振動は基本振動数は407 cm-1、倍音は816 cm-1となったが、強度について倍音は基音の約2/3であり、倍音の強度としては異常に大きいが基音は観測可能な強度を持つ。一方、Ar-PtCOの場合、基本振動数ν(Pt-C-O)は450 cm-1と10%程度青方遷移したが、同時に強度が0.2(km/mol)と非常に弱くなる。倍音準位は899 cm-1と計算されたが、その強度は基音の約4000倍と非常に大きい。倍音の振動数は、Ar-matrix分光実験でPtCOのν(Pt-C-O)として報告された916 cm-1とも非常に近く、実験ではAr-PtCOに由来する変角振動の倍音の準位が観測されたと推定される。変角振動の倍音の強度が基音の強度よりも大きくなる機構について、各基準座標に沿った双極子モーメントの解析を行った。PtCO分子のν(Pt-C-O)に関するμx成分は線形に変化するが、ArPtCO分子については倍音励起に相当する核座標変位の範囲において非線形な形状が見られた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)