2012 Fiscal Year Annual Research Report
完全長cDNAライブラリを用いたダニアレルギーワクチンの開発
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12J40160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二瓶 秋子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | ダニアレルギー / ワクチン / 完全長cDNA |
Research Abstract |
ダニアレルギー特異的ワクチンの開発基盤の確立を目的として、コナヒョウヒダニ(D.farinae)の完全長cDNAライブラリのうち、既に塩基配列決定済みの11,520クローンを基に、新規ダニ抗原候補分子のスクリーニングを行った。これまでの研究成果により選択された20の既知抗原クローン群(Group D)および20の新規抗原候補クローン群(Group HA)を個々に、真核細胞用発現プロモーターCEを有するベクター(pCE-FL4)に組換えた。D,HA,およびコントロールの空ベクター(pCE-FL4)を、GeneGunを用いてマウスに免疫し、免疫応答を解析したところ、D,HAともに、ダニ抗原特異的な脾臓細胞および所属リンパ節細胞の増殖およびサイトカイン産生量が上がっていた。このことから、免疫したこれらのクローンによるマウス体内でのダニ抗原特異的免疫応答の誘導が確認された。 次に、D,HAでマウスを免疫した後、ダニ粗抗原のチャレンジによりアレルギー性喘息を誘導し、ワクチンによるダニアレルギー抑制効果を気管支肺胞洗浄により解析した。その結果、肺に浸潤した好酸球数はD,HA群ともコントロール群と差が無く、これら計40クローンによるダニアレルギー予防効果はみられなかった。ここまでの成果は、第41回日本免疫学会にて発表した。 一方で、近年アレルギーにおける役割が注目されてきているTh17細胞が産生するIL-17が、B細胞クラススイッチに与える影響を解析し、論文発表した(Cytokine 2012)。この解析結果を踏まえ、今後さらにワクチンの探索と評価を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の目的通り、既知抗原(20クローン)および選択した新規抗原候補(20クローン)を用いてマウスの系で、ワクチン効果の評価をおこなった。患者サンプルを用いた診断用抗原パネルについても、これら40クローンから抗原を発現タンパク質として順次作製しているところで、全て揃ったら速やかに解析を開始出来る状況である。 引き続き、ダニアレルギー予防効果のあるワクチン候補遺伝子のスクリーニングをマウスの系でおこなっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、D,HAともに十分な免疫応答を誘導したにも関わらず、予防効果が見られなかった原因の一つとして、実験的に誘導したダニアレルギーが強すぎた可能性も考えられたため、現在の方法よりマイルドなチャレンジの方法を検討中である。また、HAは発現量の高いものから20遺伝子選んだものであるが、遺伝子解析により、Dに含まれる既知抗原は発現量と相関していない事が判ったため、今後は発現量からではなく、機能的にアレルギーに関与すると予測される遺伝子を候補として選択していく予定であるも また、診断用抗原パネルの検討も引き続き進めていく。
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Research Products
(3 results)