2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織サイトカイン環境の加齢に伴う炎症性変化を誘導する髄膜・脈絡叢の免疫系構築
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12J40278
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
石井 さなえ 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 髄膜免疫系 / サイトカイン / LPS / MultiPlex / 骨髄内骨髄移植 / インターフェイス |
Research Abstract |
本年度は、脳と免疫系のインターフェイスの一つは脈絡叢が付着する脳実質領域であるという、本研究の根底をなす概念を論文にまとめた。次いで、髄膜免疫系が全身免疫系の変化を脳組織サイトカイン環境の変化として伝達するインターフェイスであることを実験的に明らかにすべく、LPSを腹腔内投与しその1、4、24時間後の脾臓、海馬におけるサイトカインを一斉定量する実験系を立ち上げた。当初の計画ではリアルタイムRT-PCRとELISAを用いてサイトカインの定量を行う予定であったが、Multiplexというタンパク一斉定量系を用いて脳組織抽出タンパクからサイトカインの測定が可能であることを確認したので、本研究におけるサイトカイインプロフィールはMultiPlexを用いて調べることにした。また、髄膜免疫系を骨髄内骨髄移植法により置換する実験を試みた。B6マウスをドナー、SAMP10マウスをレシピエントとした移植を8匹、SAMP10マウスをドナー、B6マウスをレシピエントとした移植を14匹行い、7-8ヵ月飼育した。その間、B6マウスを移植したSAMP10マウス5匹とSAMP10マウスを移植したB6マウス6匹は肺炎などの理由により死亡した。残ったマウスの末梢血から、細胞の置換を調べた結果、B6マウスを移植したSAMP10マウス3匹ではほぼ完全にB6タイプに置換されていたのに対し、S川P10マウスを移植したB6マウス8匹では血球系細胞の分化が悪くどちらのタイプも示さなかった。残ったマウスの匹数が少なく、全身状態もよくなかったことから行動実験は行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画全体の根幹をなす概念をまとめた論文が出版されたことは大変よかった。計画に書いた実験は問題が生じてうまくいかないこともあったが、できる部分から実験を進めたので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
髄膜・脈絡叢より細胞を単離することを何度か試みているが成功していない。この手法については、次年度国際学会に行ったときに、その方法を用いた実験を行っている研究者のグループに詳しく聞いてみることにする。 骨髄内骨髄移植に関しては、(1)同系の骨髄移植のサンプルなら長期飼育できるかを確かめる、(2)短期飼育でできる実験を検討する、の2方面から改善を試みる。
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Research Products
(9 results)