2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織サイトカイン環境の加齢に伴う炎症性変化を誘導する髄膜・脈絡叢の免疫系構築
Project/Area Number |
12J40278
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
石井 さなえ 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 病理学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 髄膜・脈絡叢 / サイトカイン / 加齢 / LPS / 海馬 / MultiPlex |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの目的のため、Luminex サスペンジョンアレイを用いてサイトカイン一斉定量を行い、サイトカイン発現細胞を同定するため免疫染色を行った。 ① 髄膜免疫系が全身の炎症応答を脳組織サイトカイン環境の変化として伝達するインターフェイスとして機能することを示す : B6マウスにLPSを腹腔内投与し、その1,4,24時間後に脾臓と海馬を取り出し、15種類のサイトカインを一斉定量した。生食投与1時間後のコントロールに比べ、LPS投与後に脾臓では15種類すべてのサイトカインが上昇したが、海馬では10種類のサイトカインが上昇した。免疫染色の結果、LPS投与後急性期には髄膜、血管内皮、脈絡叢間質の細胞及び脈絡叢上皮などの細胞が、投与24時間後からは脳内の細胞がサイトカインを発現することがわかった。 ② 免疫系と脳組織のサイトカイン環境の加齢変化を調べる : B6マウスと老化促進モデマウスSAMP10系統において、2,7,14,20ヵ月の脾臓、リンパ節、海馬を取り出し10種類のサイトカインを一斉定量した。B6では加齢変化はほとんど見られなかったが、SAMP10マウスでは若齢期から海馬で炎症性サイトカインが上昇していた。免疫染色の結果、それらは主に脈絡叢や髄膜直下のアストロサイトが発現していた。 ③ サイトカイン環境の変化と骨髄由来細胞の脳への進入 : 老化促進モデルマウスSAMPlO系統は特に老齢において、骨髄由来細胞の脳への進入が増加する。この背景として進入しやすい領域におけるサイトカイン環境が変化していることが考えられたので、10種類のサイトカインを一斉定量した。その結果老齢SAMP10マウスにおいては5種類のサイトカインが増加しており、免疫染色の結果、それらのサイトカインは骨髄由来細胞の進入口に強く発現していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳組織を用いたサイトカイン一斉定量がうまく測定できたことが大きかった。そのため、計画していた以上のサンプルを追加して測定した。また、凍結切片を用いたサイトカインの免疫染色も何度か条件検討をしてうまくいき始めた。よって概ね順調と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のうち現在進めている実験については、いくつかの再現性を確かめた後、来年度中にすべて論文にする予定である。本研究課題の中でうまくいっていない部分については、参考にした論文を書いたグループの研究室に教わりに行くことを検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Niemann-Pick disease type Cl predominantly involving the front otemporal region, with cortical and brainstem Lewy bodies : An autopsy case.2014
Author(s)
Chiba Y., Komori H., Takei S., Hasegawa-Ishii S., Kawamura N., Adachi K., Nanba E., Hosokawa M., Enokido Y., Kouchi Z., Yoshida F., Shimada A.
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Journal Title
Neuropathology :
Volume: 34(1)
Pages: 49-57
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Exome sequencing of senescence-accelerated mice (SAM) reveals deleterious mutations in degenerative disease-causing genes.2013
Author(s)
Tanisawa K., Mikami E., Fuku N., Honda Y., Honda S., Ohsawa I., Ito M., Endo S., Ihara K., Ohno K., Kishimoto Y., Ishigami A., Maruyama N., Sawabe M., Iseki H., Okazaki Y., Hasegawa-Ishii S., Takei S., Shimada A., Hosokawa M., Mori M., Higuchi K., Takeda T., Higuchi M., Tanaka M.
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Journal Title
BMC Genomics.
Volume: 14(1):
Pages: 248
DOI
Peer Reviewed
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