2012 Fiscal Year Annual Research Report
下肢装具開発のためのベイズ推定を用いた足部筋活動モデルの作成
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12J56623
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 淳 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 福祉工学 / 筋活動推定 / 下肢装具 / ベイズ推定 |
Research Abstract |
本研究では下肢麻痺患者に対して処方される下肢装具の処方支援システムの構築を目的とした歩行時筋活動推定モデルの研究を行った。以下にその概要を示す。下肢装具には様々な種類が存在し、患者の症状に沿った処方が望まれる。患者の症状に対して補助が不足すれば転倒などの危険があり、補助の過剰は患者の筋力の低下を招く。しかしながら、現在の下肢装具処方は、患者の筋力によらない補助が選択されがちであるといった問題が指摘されている。これは、臨床の現場で筋活動を定量的に計測することが難しいこと、また、筋活動が変化した際にその原因がどこにあるのが定量的推定が困難であることが原因であった。本研究の目的として、"臨床現場で計測が可能なパラメータを用いた、筋活動の定量的推定・及び筋活動変化原因の定量的な推定が可能なモデルの構築"と設定した。物理モデルを用いた筋活動推定では、床反力計や三次元運動計測器といった大規模な計測設備が必要になり、臨床の場で使うことが困難である。そこで、本研究では数学的手法であるベイジアンネットワークを用い、計測装置が小型で計測が容易な関節角度及び足底圧の分布を入力とした筋活動推定モデルを構築した。この際、ベイジアンネットワークの特徴の一つでもある因果関係の推定を行い、筋活動が変化した際に何が原因になっているかを推定することを可能なモデルを構築した。実際のモデル構築においては、被験者3名(健常被験者2名、両下肢麻痺被験者1名)で健常歩行モデルの構築を行った。その結果、筋活動の推定精度は健常者のすべての筋において85%以上の推定精度を得ることができた。また、筋活動の変化原因について、計測用の装具を用いて現在すでにある装具の条件を再現し、歩行計測を行った。装具装着歩行モデルを構築し、健常歩行モデルと比較したところ、各筋において生体工学的に正しい原因推定を行うことが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル構築は完成し,比較的高い推定精度が得られているため,おおむね順調に進展していると考えられる。 被験者数が少ないため,今後被験者数を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は被験者数を増やすことで,完成したモデルの構築方法が一般的に使えるものであることを示す。 そのため,健常被験者に協力して頂いて実験を行うのはもちろん,リハビリテーション病院等と連携して下肢麻痺を持った被験者に協力を依頼することが不可欠である。
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Research Products
(7 results)