2004 Fiscal Year Annual Research Report
南極周回飛翔・超伝導スペクトロメータによる宇宙起源反粒子の精密探査-BESS-Polar実験-
Project/Area Number |
13001004
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山本 明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (30113418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 光昭 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10156193)
吉田 哲也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
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Keywords | 宇宙起源 / 宇宙線 / 反粒子 / 超伝導 / 南極 / 気球実験 / ブラックホール / 反物質 |
Research Abstract |
宇宙初期における素粒子現象の探索を目的として進められている日米共同宇宙線観測実験(BESS-Polar)は、平成13年度より実験の準備を開始し、15年後半から16年度前半にかけ、約1年間に亘り、アメリカ側協力機関のNASA/GSFCにおいて観測装置のインテグレーションを続け完成した。今年度、南極遠征による本実験が実現し、10月末より現地の準備作業を開始した。約1ヶ月に亘る準備期間の後、12月初旬には、打ち上げ天候待ち体制に入った。 平成16年12月13日、南極マクマード基地近くのウイリアムズフィールドより、大型観測気球を用いた気球搭載型超伝導スペクトロメータの南極周回軌道への打ち上げに成功した。観測機器の上昇とともに観測を開始し、約3時間後には予定飛翔高度37kmに達した。以後37〜39kmの高度を保ちつつ南緯80〜85度の南極周回軌道に沿って200時間を越える観測飛翔をおこない、約9億イベント及ぶ宇宙線観測に成功し、ハードディスクに保存された観測データは2テラバイトに達した。 観測中に、粒子飛行時間測定器の光電子増陪管の一部に不調が発生したが、イベントトリガーモードの調整を行い、観測アクセプタンスを〜80%に維持しつつ、安定な観測を続けることができた。8日間をすぎた段階で、気球の軌道が南緯82〜83度まで下がり、安全かつ確実な回収を優先して科学観測を終了した。観測器は、氷上安全に着地した。1週間に亘る氷上での作業により、観測データとともに、分解した観測器要素をすべて回収することができた。向収されたデータにより、すぐに解析がスタートしている。現在、観測器の性能理解が進み、正常なデータの取得が確認された。データ解析が進展している。これまでのカナダ北部での観測に比べ、〜5倍程度の統計で、宇宙線反陽子のフラックスが求められると期待している。
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Research Products
(8 results)