2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13002001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20201379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 直之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70322659)
下浦 享 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10170995)
梶野 敏貴 国立天文台, 理論天文学研究科, 助教授 (20169444)
水崎 高浩 専修大学, 法学部, 助教授 (50251400)
本間 道雄 会津大学, コンピューター理工学部, 講師 (40264569)
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Keywords | モンテカルロ殻模型 / 不安定核 / 三角形の原子核 / 魔法数 / 量子カオス / N=34魔法数 / テンソル力 / 殻進化 |
Research Abstract |
原子核における陽子-中性子量子多体系を解明する研究を行なった。方法論的にはモンテカルロ殻模型を中心とし、通常の殻模型、さらには、クラスター構造解明のための分子軌道法、一粒子エネルギーなどの変化の理解を目指しての平均場法も組み合わせて研究を推進した。研究対象としては、軽いところから重いところまでの、核図表上の広範な原子核を扱った。特に、中性子数が多い、中性子過剰不安定原子核の研究が多くを占めた。 具体的には、軽い方から述べると、14C原子核が三角形を持つ束縛励起状態を示した。過剰な中性子が糊の役割を果たして、引力が極めて弱いアルファ粒子同士を引き付ける役割を果たすことを示した。Naアイソトープにおいて、N=20のシェルギャップが小さくなっていることを、30Naの励起エネルギーとE2遷移、及び、アイソトープ全体に渡っての磁気的双極、及び、電気的四重極モーメントの測定結果とモンテカルロ殻模型の結果を比較することにより実証した。この成果はこの近辺の原子核の構造の理解に大きな影響を与えている。例として、31Mgの基底状態においてN=20の閉殻構造が大きく壊れていることも判明した。さらに、重い原子核に進み、pf殻領域でも、TiやCrのアイソトープの構造解明を行い、N=32,34の魔法数の出現と消滅を説明/予言し、実験と比べている。この領域の原子核は超新星爆発でも重要であるが、ガモフテラー遷移強度を計算して、その理解に資している。扱った最も重い原子核はTeのアイソトープで、モシテカルロ殻模型計算により、異常に小さくなるE2遷移強度を自然に説明するなどの成果をあげた。これらは、全て論文として発表されている。 世界各地の実験グループとの国際協力により、我々が理論解析を担当して、多くの論文が定常的に発表される状況になっている。それに加えて、テンソル力による殻進化、量子カオスによる対称性の回復、などの研究も独自に進めており、核構造において世界をリードする成果を出している。
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