Research Abstract |
本研究は,一般家庭への常時接続インターネットの急速な普及を背景に,新しい生涯学習のあり方を提案するものである.我々は今や"何時でも何処でも"の学習環境を手に入れることができる.既にe-Learningについて多くの研究や実践が進められている.しかし,総合的な評価が進んでいるとは必ずしもいえない.そこで,我々はインターネット上で公開講座を実施し,コース企画から,教材作成,評価,クレジット認定,運用を含めて,総合的な検証をおこなった.平成14年2月〜3月の間インターネット公開講座を実施し,さまざまなデータを収集した. 我々は,和泉市久保惣記念美術館の協力を得て,芸術分野の公開講座を企画し,教材を作成した.多くの愛好家が美術館を訪れているが,必ずしも作品を正しく鑑賞しているわけではない.美術・工芸品を,歴史,芸術論的等な観点から体系的に知識を学ぶのも一つの方法ではあるが,我々は受講生の具体的な興味・関心に結びついた形でテーマを選ぶことが重要だと考えた.そこで,"美術品鑑賞法"をテーマに選んだ.e-Learningの教材作成手法で,学習目的,目標をできるだけ明示する,つまり具体的な問題解決局面の中での知識獲得が効果的であることが指摘されている.一方で,教養分野講座への要求も高齢者を中心に高いことが我々のニーズ調査から明らかになっている.IT関連のe-Learningが多い中,美術分野を対象にした我々のような教材は少ないといえる. 我々は,ストリーミング型とWBT型の両方の混ざった形の講座が,現実的な手法だと考える.そこで,Web上に紙の教科書の感覚で使える教材を試作した.上記の期間,インターネット上で公開講座を実施し,データを収集した.受講生へのアンケートの結果から,インターネット公開講座が非常に有効であることが分かった.IT分野以外のインターネット講座でも,意義は深いことが示された.
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