2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13021205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 忠 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60004058)
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Keywords | 蘭学 / 洋学 / 出版 / 科学史 |
Research Abstract |
1)江戸時代における天文暦算書の出版状況の数量的調査を行った。基礎データは国書総目録及び古典総合目録を基本として該当書を抽出し、これに渡辺敏夫『近世天文学史』下巻(恒星社厚生閣、1987)所収の書目により補った。また国文学研究資料館がインターネットで試験公開している「国書」目録も活用・参照した。抽出した総点数は333点である。 2)当該333点を、暦書類、天文書一般、須弥山説関係書、その他に分類すると、暦書類が45%、天文書が33%、須弥山説が16%、その他6%となり、暦書類が半分弱を占めるが、これには頒暦類自体は含まれていない。 3)以上のデータより、出版された天文暦算書の継時的変化の分析を試みた。19世紀には天文暦算書の出版点数が18世紀に比べ倍増していることが判明した。この傾向は既に18世紀の第4四半世紀に現れているが、19世紀には一層顕著となる。なお暦書類は17世紀半ばからほぼ一定数(四半世紀毎に14〜19点)刊行されている。大まかな傾向としては、江戸時代前半は暦書類の出版が、後半は天文書一般の刊行が優勢であり、その転換点は安永・天明期にある。須弥山説関係書は殊に幕末に出版点数が著しい。 4)化学書についても同様に、総点数80を抽出した。うち舎密または舎密加という文字が題名に見える書の点数は38点、47.5%とほぼ半数にせまらんとする数であった。うち宇田川榕菴の著書は24点であるから、舎密・舎密加と題される書の63%が榕菴の手になるものである。さらに総数80点中、榕菴の著作が38点で同じく47.5%に相当し、江戸時代化学研究における榕菴の役割がいかに大きいかが判明する。
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Research Products
(2 results)