2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13021205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 忠 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60004058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺山 恭輔 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00284563)
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Keywords | 蘭学 / 洋学 / 出版 / 科学史 |
Research Abstract |
1)前年度に引き続き、国文学史料館がインターネットで試験公開している「国書」目録を活用し、江戸時代における航海関係書の数量的調査を行った。抽出した総点数は187点である。 2)当該187点のうち、刊行されたものは僅か3点のみである。うち2点が、直接蘭書を参照したものではないが、蘭学系知識を取り入れて著されたもので、広い意味での蘭学系科学書である。 3)刊本ではないが、年代が判明しているものは44点で、24%を占める。そのうち航海術に関わるものは8点にすぎず、25点と多数が航海記録、船中日記の類で、本研究の考察の対象ではない。これを世紀ごとに分析すると、17世紀が6点、18世紀が8点、19世紀前半が15点、1850,60年代が15点を数える。時代を追って点数が増えるが、なかでも最多は文化年間(1804-17)が7点で、これに安政、文久年間が6点と続いている。なお刊本3点のうち2点も文化年間に出版されており、この時期の史的位置について、他の分野との比較が必要となろう。 4)年代不詳だが、執筆者が判明する著作のうち、13点が蘭学系航海術関係書であることが著者(宇田川榕菴、渋川景佑、本多利明など)や原著者(ピラール、スワルトなど)が明示されていることより判明する。概ねこれらは著者の活躍年代からして19世紀のものと推測できる。 5)江戸時代の解剖書、工学書、農書を例に、イエズス会士系著訳書経由や蘭書経由の挿図と比較対照することにより、転写ごとに、原図が改変される様を辿った。解剖書では、実際の解剖記録が西洋解剖書の挿図を参照していること、また工学書や農書では、歯車等による動力伝達機構が十分に理解されず、正確さを欠いていることを指摘した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 吉田忠: "坤輿万国全図、諸儀象図、イエズス会士像"東アジア出版文化展. 55-56,134,138 (2003)
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[Publications] 吉田忠: "江戸時代における科学技術書の挿図"東北アジア・アラカルト. 9(印刷中). (2004)