2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13021222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 進 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40168448)
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Keywords | 出版文化史 / 目録学 / 漢籍書誌 / 明版 / 明代史 |
Research Abstract |
本研究が第一の課題とするのは、日本に現存する漢籍、とりわけ明版書書誌の解明と資料の蒐集、整理、公開であるが、本年度には以下のような成果を挙げることができた。まず書誌の解明については、金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵漢籍の調査を行ない、約千二百部を検出してカードを採録、これにより他に伝本の知られぬ宋版漢書零本をはじめとする宋元明版、朝鮮版、春日版、五山版、古活字版といった古版を含む、同館所蔵漢籍の全貌が初めて明らかとなった。そしてこの書誌資料の整理と公開については、現在編目作業が進行中で、目録本.文はほぼ完成し、これに解説とすでに撮影ずみの書影を加え、公刊の予定となっている。なおこの目録は、史料館の意向により、同館より刊行されることになっているが、予算措置が来年度に行なわれるため、実際の刊行は再来年度となる。 明版書書誌の整理と蒐集については、上記史料館蔵のもの四十余部のほか、各地図書館、文庫において二百四十部にのぼる資料を蒐集しえた。これにこれまで約十年の間、少しずつ集めていた明版書書誌を加えれば、現時点ですでに千部を越える書誌が蓄積されており、最終的には明代の出版情況全体を見通すための、堅実な基礎が築かれることになろう。またこうした書誌調査と資料蒐集を前提に、本年度はこれまでの研究をまとめ、『中国出版文化史-書物世界と知の風景-』を公刊した。本書の内容のうち、明代の出版文化に関する叙述は、たとえば出版経費と書価、また俗書による異説や異端的言説の伝播に関する問題など、その相当部分が明版書の実査によって得られた知見にもとづいており、本年度の研究成果を十分に生かすことができた。
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Research Products
(1 results)