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2001 Fiscal Year Annual Research Report

ベトナムの『地誌』の刊行について

Research Project

Project/Area Number 13021230
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)

Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

八尾 隆生  広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50212270)

Keywords大南一統志 / 阮朝 / 大南列伝 / 漢喃研究院 / 嗣徳帝 / フランス極東学院 / 清化省 / 乂安省
Research Abstract

阮朝期ベトナムの最大の地理書である『大南一統志』は嗣徳帝時代(1848-83年)に一旦稿本が完成したが、その後も勅命により続編がつくられた。しかしこの続編はフランスとの交戦期に失われてしまった。ベトナムがフランスの保護国となった後、その稿本をもとに、新しい情報を加えて刊行されたのが1909年刊行の刊本であるとされる。
一方、ベトナム本国では、旧フランス極東学院所蔵本を元にベトナム語訳本が出版された。しかしその底本となった写本(図書番号A69)と、刊本との比較照合作業はほとんど行われてこなかった。
本研究代表者は、ベトナムの諸研究機関(漢喃研究院等)が所蔵している10種以上の写本を閲覧し、その情報(図書番号、冊数、巻数、各巻の葉数、書のサイズ、地図の有無等)を図表化した。そして刊本と比較作業を行うため、中部3省(清化省、乂安省、河静道)の部分のみコピーの入手に成功した。
行政区画の変遷などには新しい情報が刊本に加わっているのは言うまでもないが、「人物」の条を比較すると、刊本と嗣徳期の写本群には大きな食い違いがある。嗣徳版にはない人物が刊本に大量に加えられるのは当然としても、それは必ずしも嗣徳以降の人物伝の補充をしたわけではなく、阮朝の創立に貢献した者が多く補充されているのである。また一方で写本にある人物が刊本では削られている例も多々ある。刊本が単に嗣徳期稿本に後の情報をつけ加えただけのものではないことは歴然としている。しかも、上記の3つの省の人物の条に関する限り、刊本にでてくる人物の大半が、ほぼ同時期に並行して編纂された、大南列伝前編、正編列伝初集、正編列伝二集に「伝」を持っていることを確認した。よってこの二つの書の情報源はおそらく同じものであると想定され、今後は当時の院朝の置かれていた状況をにらみながら、なぜ上記の様な人物伝の取捨選択が行われたのかを考察してゆきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Publications (3 results)

  • [Publications] 八尾 隆生: "山の民と平野の民の形成史-15世紀のベトナム"岩波講座 東南アジア史. 3. 205-231 (2001)

  • [Publications] 八尾 隆生: "収縮と拡大の交互する時代-16-18世紀のベトナム"岩波講座 東南アジア史. 3. 233-259 (2001)

  • [Publications] 八尾 隆生: "黎朝碑文集 II -黎朝開国功臣関連碑文(1)-"広島東洋史学報. 6. 14-37 (2001)

URL: 

Published: 2003-04-03   Modified: 2016-04-21  

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