2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国近世の知識人社会と出版文化 とくに利挙関係資料と類書を中心に
Project/Area Number |
13021251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
森田 憲司 奈良大学, 文学部, 教授 (20131609)
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Keywords | 中国近世 / 科挙 / 類書 / 出版文化 / 元朝 / 事林広記 / 地方志 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の基本的な条件を整備すること、課題として申請したいくつかの研究対象について、今後の研究構想を基本的に策定するために、関連分野の文献の整備に主眼を置きつつ研究を進行させた。 まず、本来研究の中心として位置付けた、類書、科挙関係文献に関しては、明刊本の事林広記』に関する文献資料の複写を新たに入手することができたので、版本間の相違とその意義についての、調査、研究に着手し、現在進行しつつある。明刊『事林広記』は、これまで資料的な価値が低いとされ、十分な研究がおこなわれてこなかった。同書についての調査の結果がまとまれば、本共同研究の主眼の一つである、中国の商業出版(坊刻)の歴史の解明に資する点があるのではないかと考えている。 また、元朝科挙資料については、この共同研究が発足する直前の前年度末にすでに研究論文を発表しているが、本年度になって、同じく元朝の科挙資料についてをテーマにした中国の陳高華氏の論文が公刊された。森田がすでに発表した研究と重なる点も少なくないが、これを機会に、同氏の研究を踏まえて、再度、元朝科挙資料についての検討を進めつつある。 それ以外の課題として、中国近世の出版文化事業として重要な意味を持つ、地方志に関して、とくにその芸文、金石関係箇所の編纂についての調査を進行しつつある。現在は、視点を現在の中国における地方志出版にまで広げて、現在は資料の集積の過程にあるが、これについては、問題の探求に適切な地域を選定しつつあるところである。
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