2001 Fiscal Year Annual Research Report
電極-細胞間シンクロナイゼーションに基づく細胞内遺伝情報発現制御とその応用
Project/Area Number |
13022216
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳田 保子 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (10282849)
|
Keywords | シンクロナイゼーション / 電気的ストレス / 転写因子 / NF-κB / シグナル伝達 |
Research Abstract |
レポータープラスミドとして、活性化された転写因子AP-1、SRF、NF-κB、CREBPが認識して結合するエンハンサーの繰り返し配列の下流に、TATA boxとホタルルシフェラーゼ遺伝子を配した、動物細胞導入用のシスエンハンサープラスミドを用いて、マウスアストログリア細胞に形質導入した。その結果、各転写因子の活性化を、ホタルルシフェラーゼの生物発光活性の上昇に変換して測定することが可能なマウスグリア細胞を構築することができた。 導入したそれぞれの細胞を、対極及び参照電極とともに、ポテンシオスタットならびにファンクションジェネレーターへと接続したガラス透明電極(ITO蒸着電極)上で培養した。そして、10Hz、0〜300mVの交流電圧を1時間印加し、電気刺激を中断後さらに培養を継続することにより、電極とのシンクロナイゼーションによる転写因子の活性化を誘導した。比較実験として、培地にPKC活性化剤であるPMAを添加し、各転写因子の活性化誘導を行った。電位印加及びPMA添加後24時間後に細胞を回収し、細胞内に発現したホタルルシフェラーゼの発光活性を、ルミノメーターで測定した。その結果、PMAによる細胞活性化では、AP-1、NF-κB、SRF転写因子活性化が引き起こされルシフェラーゼ活性が上昇すること、また電位印加によりSRF、NF-κB転写因子が活性化し、ホタルルシフェラーゼの機能発現が誘導されることが明らかとなった。これらのなかで最も顕著な活性化は、電気刺激によるNF-κB転写因子の活性化であることが明らかとなった。この結果より、電気刺激印加による細胞機能応答は、酸化ストレスといった他の物理的外部刺激による細胞内シグナル伝達経路の活性化と関連性があることが示唆された。
|
-
[Publications] Kamei K., et al.: "Construction of the Cellular Biosensing System for Assessment of Drugs for the Nervous System"Chemical Sensors. 17. 169-171 (2001)
-
[Publications] 柳田保子, 相澤益男: "動物細胞への電気刺激とストレス応答タンパク質の発現"バイオサイエンスとインダストリー. 59. 110-111 (2001)
-
[Publications] Funabashi H., et al.: "Fluorescent Monitoring of Cellular Physiological Status Depending on the Accumulation of ppGpp"Biotechnology Letters. 24. 269-273 (2002)