2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13024218
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 昌弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70134517)
|
Keywords | アオコ / 溶藻細菌 / 殺藻細菌 / シデロフォア / 鉄 / キレート物質 / 藍藻 / ペプチド |
Research Abstract |
富栄養化の進んだ湖沼で夏季に主に出現するアオコは、その駆除に多大な費用が費やされるケースもあり、効率のよい駆除法の開発が求められている。そのためには、アオコの発生・消滅のメカニズムを把握する必要がある。近年、アオコの消長・消滅には滑走細菌、シアノファージ、放線菌、アメーバーなどの微生物が、複雑な相互関係を保ちつつ関与していると考えられるようになってきた。本研究では、これら微生物が分泌する溶藻・殺藻物質を単離・同定することを第一の目的として行つた。また、最近、アオコを構成する種の遷移、消長には鉄イオンが重要な働きをしていることが明らかになってきているので、鉄イオンのキレート物質シデロフォアについても検討した。 1)Pseudomonas sp. K44-1株の産生する抗藍藻物質の単離と同定 藍藻Anabaena cylindicaに対する溶藻・殺藻スクリーニングで強い殺藻活性の認められたPseudomonas sp. K44-1株について大量培養を行った。得られた全培養液を超音波処理により細胞を破砕した後、酢酸エチルで抽出した。さらに各種クロマトグラフィーを用いて活性成分であるHarmaneを得ることが出来た。HarmaneはA. cylindricaおよびMicrocystis aeruginosaなどの藍藻類に対して、30mg/diskで活性を示した。 2)藍藻Anabaena cylindica(NIES-19)より鉄キレート物質の単離・構造決定 藍藻類の鉄キレート物質シデロフォアの産性能をChrome azurol S(CAS)アッセイ法を用いてスクリーニングした結果、糸状性藍藻A.cylindrica (NIES-19)の培養ろ液が非常に強い鉄キレート活性を示した。本藻種をCB培地を用いて大量培養し、ろ液から鉄キレート活性を指標としてAnachelin、Anachelin-2と命名した二つの異性体を単離・構造決定することができた。本物質は、ペプチド性の化合物で、極めて低濃度で鉄イオンをキレートした。
|
Research Products
(1 results)