2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13024218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 昌弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70134517)
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Keywords | アオコ / 溶藻細菌 / 殺藻細菌 / シデロフォア / 鉄 / キレート物質 / 藍藻 / ペプチド |
Research Abstract |
富栄養化の進んだ湖沼で夏季に出現するアオコは、その駆除に多大な費用が費やされるケースもあり、効率よい駆除法の開発が求められている。そのためにはアオコの発生・消滅のメカニズムをを把握する必要がある近年アオコの消長・消滅には滑走最近、シアノファージ、放線菌、アメーバーなどの微生物が、複雑な相互関を保ちつつ、関与していると考えられるようになってきた。本研究では、これら微生物が分泌する溶藻・殺藻質を単離・同定することを第一の目的として行った。また、最近、アオコを構成する種の遷移、消長には鉄イオンが重要な働きをしていることがあきらかになってきているので鉄イオンのキレート物質(シデロフォア)にいても検討した。成果は以下の通りである。 1.Anabaena variabilis M-204およびNIES-23の産するシデロフォアschizokinenの構造および化学性状 A. variabilisは嫌気下においては栄養細胞内にnitrogenaseを発現させる特異なヘテロシスト形成種であり、窒素固定の研究に頻繁に用いられている。そこでA. variabilisの産するシデロフォアの単離・構造決定を行った結果、A. variabilis M-204およびヘテロシスト不形成変異株であるNIES-23の両株のシデロフォアは、クエン酸を中心に左右対称な構造を持つヒドロキサム酸系の既知シデロフォアschizokinenであることが判明した。schizokinenはBacillus megateriumより最初に発見され、またAnabaena sp. PCC7120よりも唯一の藍藻シデロフォアとして報告されている。
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