2002 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学的アプローチによる赤潮毒プリムネシンの完全立体構造決定
Project/Area Number |
13024228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80235267)
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Keywords | プリムネシン / 赤潮毒 / 相対立体配置 / CDE / FG環部 / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
プリムネシンは、ハプト藻Prymnesium parvumが生産する赤潮原因毒であり、分子量2000にも及ぶ大型天然物である。連続した1,6-ジオキサデカリン環、ポリオール部分、糖、長鎖共役ポリエンポリイン構造、アミノ基、塩素など多様な官能基を含む新規なポリエーテル系天然物であり、植物サポニンの約5000倍という極めて強力な溶血活性、強い魚毒性のほか様々な生物活性を示すことから注目を集めている。本研究では、有機合成化学とNMR解析を組み合わせる方法によりプリムネシンの完全立体構造決定を目的として研究を進めた。NMR解析により提出されたプリムネンシンのE/F環連結部の相対立体配置には不確定な部分が残されていたため、CDE/FG環部モデル化合物の立体選択的合成を行い、天然物とNMRデータを比較することにより当該部分の立体構造の確認を行うこととした。 オキシラニルアニオンのカップリングと6-endo環化を鍵反応として合成した二環性化合物を共通中間体として、CD環とFG環部をそれぞれ合成した。両者をリチウムアセチリドとアルデヒドのカップリング反応により連結し、E環を混合メチルケタールとして閉環した後、シラン還元によりCDE/FG環部モデル化合物を合成した。現在、合成したモデル化合物の構造確認および天然物の相当する部分とのNMRデータの比較を行っている。
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