2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13027201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆 泰寛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10178402)
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50332474)
数坂 昭夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
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Keywords | 環境ホルモン / 環境汚染 / PCB / シトクロムP450 / 哺乳類 / ステロイドホルモン / フタル酸エステル / ビスフェノールA |
Research Abstract |
環境汚染による野生動物への影響として、これまで、個体数減少、奇形発生、性比のバランス変化、繁殖能低下あるいは行動異常が懸念されてきた。我々は、環境ホルモン汚染の実態調査による現状把握と、脳や生殖器への影響メカニズムの解明が急務であると考え、以下の研究に取り組み、成果を得た。 1)内分泌撹乱化学物質など、汚染物質の野生哺乳類への影響調査 (1)アザラシやイルカ等の海棲哺乳類に蓄積する、平面構造を持つコプラナーPCB類と、肝臓におけるP450依存酵素活性や発現量との間に相関が見られることを明らかにした。また、高濃度に有機塩素系化合物を蓄積しているアザラシの甲状腺ホルモンへの影響について検討したところ、PCB170やPCB180と血中の甲状腺ホルモンレベルが負の相関を示し、PCBによる野生生物汚染が内分泌系を撹乱している可能性が考えられた。 (2)食物連鎖下位に立つ野生げっ歯類のエゾヤチネズミを捕獲し、棲息環境と肝臓で誘導されているP450各分子種との関係を一部明らかにした。 2)脳や生殖器への環境ホルモンの影響の解明 (1)フタル酸エステルの一つ、ジブチルフタル酸(DBP)は、オスではエストロゲン代謝排泄を抑制し、エストロゲン産生を亢進することが、生殖器及び肝臓に発現するP450各サブファミリーの活性及び発現レベルの解析から推測された。血中のエストロゲンレベルも、DBPを投与したオスで増加することを明らかにした。 (2)ビスフェノールA(BPA)の胎仔期・新生仔期曝露で、ラット脳の発達に影響がみられることが分かった。BPA曝露個体では、自発運動量・探索行動に変化がみられ、同時に数10種の遺伝子発現レベルが変動していることが、cDNAマイクロアレイ解析から明らかとなった。成体に対するBPA曝露実験では、性特異的な肝臓のP450やステロイドホルモン代謝酵素の発現レベルが減少することが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chiba I, et al.: "Hepatic microsomal cytochrome P4SOs and chlorinated hydrocarbons in largha and ribbon seals from Hokkaido, Japan : Differential response of seal species to Ah receptor agonist exposure"Environmental Toxicology and Chemistry. (印刷中).
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[Publications] Sakamoto QK, et al.: "Accumulation patterns of polychlorinated biphenyl congeners and organochlorine pesticides in Steller's Sea eagles and White-tailed sea eagles, threatened species, in Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. (印刷中).
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[Publications] Maruyama Y, et al.: "Uptake of the dopaminergic neurotoxin, norsalsolonol, into PC12 cells via dopamine transpoter"Archives of toxicology. 75. 209-213 (2001)
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[Publications] Fujita S, et al.: "P450 in wild animals as biomarker of environmental impact"Biomarkers. 6. 13-25 (2001)
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[Publications] Maruyama Y, et al.: "Norsalsolinol uptake into secretory vesicles via vesicular monoamine transporter and its secretion by membrane depolarization or purinoceptor stimulation in PC12 cells"J Vet Med Sci. 63. 493-497 (2001)
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[Publications] Chiba I, et al.: "Negative correlation between plasma thyroid hormone levels and chlorinated hydrocarbon levels accumulated in seal from the coast of Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. 20. 1092-1097 (2001)