2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13027202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 彰彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (40091483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 孝博 北海道区水産研究所, 海区水産業研究部, 室長
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
足立 伸次 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (40231930)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / 魚類 / ビテロジェニン / 肝培養 / エストロジェン / 植物性エストロジェン / マハゼ / ボラ |
Research Abstract |
水圏に生息する生物では、内分泌撹乱化学物質の影響は直接的であり深刻である。今年度は、魚類を対象にエストロジェン作用を持つ物質に関してin vitro, in vivo系を用いて卵形成に関する作用機序をビテロジェニン(Vg)を用いて分子・細胞レベルで解明する一方、野生魚類の生殖影響を観察することを目的として研究を行った。 コイ 肝細胞培養系の確立及び植物エストロジェンのビテロジェニン産生:培養液中のVg量を測定した結果、estradiol-17β(E2)では10^<-9>M、estroneでは10^<-7>M, estriolでは10^<-8>M、testosteroneとmethyltestosteroneでは10^<-5>M添加群からそれぞれVgが検出された。植物性エストロジェン添加群ではcoumestrol= genistein= equol> daidzein= biochanin A> formononetinの順でVg誘導能が観察された。ウナギ雄肝臓のビテロジェニンの産生能:実験群としてE2(1mg/kg BW)とHCG(1000IU/kg BW)を単独または複合投与した群及び未投与群を設け、投与後7日後、10^<-8>から10^<-6>MのE2を添加して7日間の肝細胞培養を行った。すべての群においてVg産生量はE2の濃度依存的に上昇した。また、未投与群とE2単独投与群の肝細胞の間でVg産生能には差が認められなかったが、HCG単独投与群及びE2とHCG複合投与群のVg産生能は、未投与群よりも高い傾向が認められた。マハゼの肝臓器官培養法の確立:E2を10^<-9>〜10^<-7>Mの濃度で添加した群を設けて7日間培養した。培養開始後、1〜7日目の培養液中及び培養肝臓片中のVg量をELISAにより測定した。E2添加群ではBSA及びFBS培養液を用いた群とも、培養液中の320k及び530kの2種のVg量は共にE2濃度及び培養日数依存的に増加し、BSA培地を用いた群に比べFBSを用いた群でより高値を示す傾向が認められた。また、BSA培地を用いた群では2種のVg量には差は認められなかったのに対し、FBS培地を用いた群では培養期間を通して530kVgが320kVgに比べ高値を示した。野生魚類の生殖影響:全国各地の都市沿岸で採集したマハゼのVgを測定した結果、大都市近郊の閉鎖性の高い湾ではVgが検出される割合が高く、また濃度も高い個体が見られた(最高6.0μg/ml)。一方、ボラの性的未分化及び雄個体におけるVg濃度は、長崎港、博多港では数μg/mlとやや高い値を示したが、大阪湾、東京湾ではmg/mlレベルの個体が検出された。大都市部周辺海域に生息する個体ほど血清中のVgが高い傾向であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Hiramatsu: "Simple and sensitive detection of vitellogenin receptor(s) in Sakhalin taimen (Hucho perryi)"Bull. Fish. Sci. Hokkaido Univ.. 52・1. 5-9 (2001)
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[Publications] 飯島 憲章: "瀬戸内海周防灘及び広島湾のマコガレイに対するエストロジェン様内分泌攪乱物質の影響実態"環境毒性学会誌. 4・1. 45-53 (2001)
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[Publications] H.Fukada: "Development and validation of chemiluminescent immunoassay for vitellogenin in five salmonid species"Comp. Biochem. Physiol.. 130A・1. 163-170 (2001)
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[Publications] N.Hiramatsu: "Serum immunoglobulin M (IgM) in Sakhalin taimen : Purification characterization circulating levels, and specific IgM production by the parasitic Salmincola stellatus"Suisanzoshoku. 49・3. 355-374 (2001)
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[Publications] 原 彰彦: "魚類の卵形成と雌特異蛋白質ビテロジェニン-環境ホルモンのバイオマーカー"化学と生物. 39・1. 29-36 (2001)
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[Publications] 原 彰彦: "魚類卵黄タンパク質前駆物質に関する免疫生化学的研究"Nippon Suisan Gakkaishi. 67・3. 405-408 (2001)